【現役トラックドライバーが斬る!】トラックの迷惑行為はなぜ起こるのか?

■ゴミのポイ捨てはなぜ?

 ベストカーWeb編集部から、「トラックドライバーはなぜごみをポイ捨てするするのか?」という質問を受けて、答えに詰まった。

「やっているのはごく一部のドライバーで、大半の善良なドライバーはやっていないんですよ」と言ってしまえば、通り一遍な答えになってしまう。禅問答のようでもあり、道徳、倫理学、経済学の問題でもある。その答えが簡単に出るようならば、すでにポイ捨てはなくなっているはずだ。

 だが、中央分離帯やSA・PA、コンビニのトラック駐車スペースにも、今日もゴミがたくさん落ちている。では、トラック運転手だけが特別なのかといえば、そうではないと考える。乗用車のドライバーもゴミを散らかすし、キャンプ場や海水浴場にゴミを放置する人はいる。トラックドライバーがコンビニ袋を捨てるのが目立つのは、コンビニ弁当で食事を済ますことが多く、ゴミがたくさん出るからではないか。

日本の玄関、羽田空港付近の中央分離帯にあるゴミの山。あと半年余りで東京五輪パラ開催なのに訪日外国人に恥ずかしい(2019年12月撮影)

 ではどうして捨てるのか? ゴミは自分に不要だからである。人間、モラルがなくなってしまえば、自分さえよければ他人はどうでもよいという考えになる。他人に迷惑をかけて楽しいという人すらいる。だが、日本の道路シーンではポイ捨てよりもっと迷惑なこともある。

 工事車線規制で追越禁止になっても、最後の最後まで無理に追い越そうとする行為である。人間は「我先に」という行動をしてしまうものだ。皆、知らず知らずのうちにやっている。事故や命の危険性があるだけに、ポイ捨てより悪質だ。

 話を戻そう。トラックのゴミのポイ捨て問題は、もう何十年も前から言われ続けているが、少しずつ“手口”が変わってきているように思う。

 昔は交差点の信号で停車した時に道路脇にゴミ袋を捨てたり、灰皿を道路上に開ける、手の届くフェンスの金網に空き缶をねじ込むなど、イタズラめいたものが多かった。最近は、駐車場を立ち去る際にコンビニ袋を置き去る、SA・PAの出入り口のカーブの途中など回収しにくい場所にわざわざゴミを投げ捨てるなど、より陰湿になっていると感じる。

 SA・PAのゴミ箱設置場所がトラック駐車場から遠かったり、いつもゴミが満タンであるなどの問題点もあるが、どうもそれだけが原因ではないらしい。泥棒が何千年経ってもなくならないのと同じで、人間はそうしたおぞましい一面を持つ。

SAの出口付近にコンビニ袋が散らばる.明らかに走行しながら投げ捨てている(新東名下り浜松SA)

 SA・PAでのポイ捨てをなくすには効果的な方法がある。嫌な社会だが、監視カメラである。SA・PAでポイ捨てをしたトラックの運送会社、ナンバーが確認されれば、ETCコーポレートカードの利用を停止するのである。すると会社にとっては(ETCの大口・多頻度割引を受けられず)月に数百万円の損失になるから、会社は絶対にゴミを捨てないようにとドライバーにクギを刺すようになるだろう。


 私たちはスーパーやネット通販の安い商品によって便利な生活を享受しているが、安い物価の一因には安い物流費があり、その背景には、社会インフラや物流事業者、メーカー、流通事業者などが本来支払うべきトラックの駐車コストや廃棄物の処理コストを払っていないという要因がある。

 遠大な社会矛盾を持ち出して、個人のモラルの問題をすり替えていると思われるかも知れないが、これが加減速レーンへの駐車、ゴミのポイ捨てなどの迷惑行為の本質なのではないだろうか。

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 大型トラックが1km/hぐらいの速度差で延々と横並びで走り、後ろに長蛇の列ができる迷惑運転。そして、一般ドライバーとトラックドライバーの間で起きる、あおり運転の問題については関連記事『【現役トラックドライバーが斬る!】トラックの追い越し車線で起きる問題とその深層』で斬りこんでいる。ぜひご覧いただきたい。

【画像ギャラリー】人の振り見て我が振り直せ! 他車から迷惑と思われる行為

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