BMW上位独占!? 1位から9位までをすべて輸入車とした評論家も!!? 400万円台までの日欧「走りの楽しい」スポーティセダンランキング2014【ベストカーアーカイブス】

■片岡英明氏に聞いてみた

ワゴンのレヴォーグだが300psを発揮する2L直噴ターボモデルはあえてこのカテゴリーに入れた。2.0GTアイサイトの価格は334万8000円
ワゴンのレヴォーグだが300psを発揮する2L直噴ターボモデルはあえてこのカテゴリーに入れた。2.0GTアイサイトの価格は334万8000円

【編集部からのクエスチョン】片岡さんが2位にランキングしたレヴォーグですが、総合ランキングは5位。意外とほかのみんなの評価は高くないですが、片岡さんはこの結果をどう見ますか!?

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 ヨーロッパでDセグメントと呼ばれているこのクラスは、まれに見る激戦区だ。世界中で販売され、名を知られたワールドワイドなファミリーカーがひしめいている。BMWやメルセデスベンツ、アウディなどが量産の要となる上質なセダンを送り込み、燃費競争も激しい。

 日本勢はヨーロッパ勢に押され続けていた。だが、昨年から今年にかけてニューモデルラッシュだ。各メーカーが威信をかけて開発した戦略車を積極的に送り出している。これらは実用性能が高いだけでなく、環境性能もハイレベルだ。

 マツダは先陣を切ってアテンザをモデルチェンジしたが、主役の座にディーゼルターボを据えた。また、日産もインフィニティに投入した上質なスポーツセダンを、スカイラインの名で日本市場に送り出した。スバルは日本専用モデルとも言うべきレヴォーグを開発し、5月から正式発売に移す。

 ランキングでトップの座を奪ったのは、BMWの野心作、3シリーズだ。多くのグレードのなかから、ジャーナリストを中心に評価の高い320dがライバルを押しのけてトップに輝いている。5人のレポーターのうち、4人がトップ指名だったし、残る1人も2位とした。

 BMWならではの気持ちいい走りに加え、ディーゼルターボの力強いパンチ力と優れた環境性能を身につけている。ガソリンエンジンを積む320iも3位に食い込むなど、素性のよさを見せつけた。

 2位につけたのはデザインの美しさも際立っているマツダのアテンザだ。こちらも4Lクラスの分厚いトルクを誇るディーゼルターボが高く評価された。4位はモデル末期だが、トータル性能の高いメルセデスベンツのC180となっている。

 期待のレヴォーグは5番手だが、こちらは正統派のセダンではないし、海外市場には目をつぶっているから5位は順当な評価と言えるだろう。4人が一桁の上位に選んでいることからも期待度が高いことがわかる。今後、熟成が進めば、さらに上位を狙うことも可能だと思う。

■渡辺陽一郎氏に聞いてみた

2位 アテンザセダンXD……渡辺陽一郎氏が1位とした以外は、2位、3位とばらけたアテンザディーゼル。2.2Lディーゼルターボは175ps/42.8kgmを発揮。291万9000円という価格は320dと比べて圧倒的にリーズナブルで魅力的だ
2位 アテンザセダンXD……渡辺陽一郎氏が1位とした以外は、2位、3位とばらけたアテンザディーゼル。2.2Lディーゼルターボは175ps/42.8kgmを発揮。291万9000円という価格は320dと比べて圧倒的にリーズナブルで魅力的だ

【編集部からのクエスチョン】新型スカイラインが3位というのは、ほかの皆さんの順位と比べて「高い評価」と感じました。3位とした理由は!?

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「新型スカイラインはハイブリッド化で価格を高めたので、2.5Lの250GTを継続販売する」と開発者は言った。

 しかし新型スカイラインは買い得だ。主力の350GTハイブリッドタイプPは486万3600円に達するが、V型6気筒の3.5Lをベースにしたハイブリッドを搭載し、側方や後方を含めた衝突回避の支援機能も装着する。カーナビなども備わり機能と装備を充実させた。

 その結果、装備の充実も考えると先代型の370GTに比べて約40万円でハイブリッド化。フーガハイブリッド、レクサスGS450hなどは、ハイブリッド化に90万円も費やすからスカイラインは断然安い。

 この安さは、クラウンアスリートハイブリッドS、レクサスIS300hと価格が同等なことでも分かる。クラウンやISのハイブリッドは直列4気筒の2.5Lエンジンがベースで、安全装備はオプションだ。動力性能と装備の両面で、上級ハイブリッドセダンではスカイラインが圧倒的に安い。

 しかもスポーティ。北米仕様を運転すると、Lサイズセダンながらよく曲がる。後輪の接地性は相対的に低く、走行安定性のバランスはよくないが、余裕のある動力性能と機敏な操舵感によって走りは楽しい。

 後席はボディサイズのわりに少し窮屈。エンブレムはインフィニティに変わり、全幅は1800mmを超えて日本のユーザーを見限った印象も受ける。

 不愉快な部分も目立ち、車両のコンセプトも曖昧だ。それでも走行性能と価格のバランス、ハイブリッド化による燃料消費量の抑制(低燃費とはいえない)を考えれば商品力は高い。日産はこの買い得感を上手に訴求すべきで、ほかの採点者の皆様も理解していただきたい。

 ちなみに3位としたのは、アテンザセダンXD、BMW320dがクリーンディーゼルターボを搭載し、優れた動力性能/低燃費/割安な価格を実現したからだ。ディーゼルの機能は優秀で、そこに喰い込んだハイブリッドがスカイラインになる。

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 BMW3シリーズが1位と3位を獲得したが、2位のアテンザディーゼル、そして5位のレヴォーグなど日本車も“楽しい”クルマがたくさんあるぞ!

(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)

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