なぜ高速道路が渋滞すると追い越し車線に集中してしまうのか? 追い越し車線と走行車線のどちらを走ったほうが早いのか?

なぜ高速道路が渋滞すると追い越し車線に集中してしまうのか? 追い越し車線と走行車線のどちらを走ったほうが早いのか?

 高速道路が大渋滞している時、なぜ人は追い越し車線に集中してしまうのか? また、左に車線の進みが早いと左へ、今度は右の車線が早いと右へと車線変更した場合、車線変更しない場合と比べて、どっちが早いのだろうか?

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:Adobe Stock@Ichiro)

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人はなぜ追い越し車線に集中してしまうのか?

渋滞していると、クルマは追い越し車線に集まってくる傾向がある(PHOTO:Adobe Stock@show999)
渋滞していると、クルマは追い越し車線に集まってくる傾向がある(PHOTO:Adobe Stock@show999)

 渋滞は追い越し車線から始まる、とよく言われる。走行車線が混んでくると、追い越し車線に移動するため、結果的に走行車線よりも追い越し車線のほうがクルマの流れが悪くなることが多い。できるかぎり早く通行したいという心理が働くからだ。

 渋滞学を研究する大学教授によると、多くのクルマが追い越し車線に集まることで、左側の走行車線よりも追い越し車線のほうが、渋滞がひどくなる傾向があると述べている。

 左側車線は車速が低いクルマが多く、加えて合流や出口もあることで流れが悪いイメージがあるからだ。交通量が多いときには密度が高まることで流れが悪くなり、むしろ渋滞が発生しやすく、渋滞がひどくなる傾向にあるそうだ。

 NEXCO東日本の渋滞対策実験でも追越車線が必ずしも早いとは言い切れないという結果が出ている。もちろん、ICやSA/PAなどからの合流がある場合は右車線を走ったほうがスムーズに走行できる。合流地点が予めわかっている場合は右側の車線を走り、合流を過ぎたところで左車線に戻るといいだろう。工事や事故による渋滞の場合には、規制されていない車線のほうが速く流れやすい。

関越道下り。3車線とも渋滞した状態ではどの車線を走っていても到着時間はさほど変わらないことが多い
関越道下り。3車線とも渋滞した状態ではどの車線を走っていても到着時間はさほど変わらないことが多い

正解は走行車線を走ったほうが早い

追越車線において渋滞が始まった瞬間、クルマは左へ左へと流れ、次々に渋滞は伝播していく
追越車線において渋滞が始まった瞬間、クルマは左へ左へと流れ、次々に渋滞は伝播していく

 では渋滞中、どのように走れば、早く、ストレスなく進めるのか? もちろん、混雑状況によって変わってくるが、基本的には高速道路が渋滞している時ほど、追い越し車線の走行は避け、走行車線を走ったほうがいい。

 なかでも片側3車線以上の高速道路の場合、一番左側の車線を走るのが最も効率的とされている。これは前述したとおり、一番右側にある追い越し車線を目指して車線変更を繰り返すクルマが増えるためだ。

 また渋滞中、追い越し車線、走行車線すべて渋滞していると、追い越し車線にいたクルマが走行車線、追い越し車線へ、左、右と行ったり来たりする走行はどうなのか?

 速度を一定に、車間距離が安定すれば、渋滞緩和につながる。所要時間は、自然渋滞時に頻繁に車線変更した場合と、車線変更しない場合とで比較した場合、所要時間はほとんど変わらない。

 車線変更を繰り返すクルマは渋滞を悪化させる諸悪の根源でもある。車両の流れが乱れて、走行速度にむらが出てしまい、時には後続車が急ブレーキをかけざるを得ない状況にもつながる。無理な車線変更はあおり運転の被害者になる原因にもなりかねないので、渋滞時はむやみな車線変更はしないほうがいいだろう。

料金所では、まっすぐ通行できる車線にクルマは集中しがちなので、両サイドのゲートを選んだほうが速くなる傾向(PHOTO:Adobe Stock@BSDC)
料金所では、まっすぐ通行できる車線にクルマは集中しがちなので、両サイドのゲートを選んだほうが速くなる傾向(PHOTO:Adobe Stock@BSDC)

 料金所を通過する場合、例えば4~5つのゲートがある場合、両サイドのゲートを選んだほうが通過にかかる時間が早くなる傾向にあるという。ただし、料金所を通過した後に、合流をし直す必要がある場合もある。

 また渋滞中は適切な車間距離をとることも重要だ。渋滞中は、割り込まれないようにと車間距離を詰めがちになるドライバーもいるが前走するクルマとの車間距離が短すぎるのは、トラブルや接触事故の原因となるばかりでなく、渋滞のさらなる悪化につながってしまう可能性がある。

 特に低速で動き続けるような渋滞では、クルマ1台分、4~5mの車間距離を保つことで、前走車のちょっとした車速変化を車間距離が吸収してくれるために、後続のクルマに伝わりにくくなる。

 ただし、車間距離の空けすぎもよくない。JAFによると、車間を空けすぎていると、そのクルマの後続が車間を詰める傾向があり、新たな渋滞の原因となるとのこと。全車速域クルーズコントロールが搭載されているクルマの場合、車間を空けすぎないように設定しよう。

ACCの車間距離を空けすぎるのもよくない(vasek.x1@Adobestock)
ACCの車間距離を空けすぎるのもよくない(vasek.x1@Adobestock)

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