【高齢者ドライバーの限定免許制度改正間近】進まない免許返納の問題点と打開策

2020年1月20日から始まる通常国会で高齢者ドライバーの免許制度改正案が可決される見込み

政府が新設を予定している、高齢者限定免許は、義務化ではなく、任意で選択する制度であれば、あまり意味がないのではないか
政府が新設を予定している、高齢者限定免許は、義務化ではなく、任意で選択する制度であれば、あまり意味がないのではないか

 75歳以上の高齢者ドライバーの免許制度改正案について、警察庁による有識者会議が2019年12月19日に開かれた。その結果、2022年度をめどにサポカーに限定した運転免許の創設することなどが発表された。

 現在の免許制度でも医師により認知症であると診断されると、運転免許の更新ができなくなる。

 つまり免許を取り上げられることになるのだが、実際には医師に明確に認知症と診断されて免許の更新を停止されるケースは、よほどの重度な認知症なければ難しいようだ。

 なぜなら医師に認知症と診断されても通常の生活を送れるような高齢者は、自分は運転ができると思っているし、免許を取り上げられることに抵抗があるからだ。

 しかし運転が危ういほど認知能力が低下していなくても、運転には支障を来すような状況に陥ることは十分に考えられる。

 診断後に認知機能や身体能力が低下していく恐れもあるし、走行中に急病で意識を失うなど体調の急変もあり得るのが高齢者ドライバーであるからだ。

 昨今の電子制御が運転をアシストしていることが、ドライバーの運転能力を判別しにくくしているクルマの運転は、それだけ高度な状況判断や繊細な操作が求められるものなのだ。

 そうでなければ、とっくに自動運転も実現できているハズなのである。未だよちよち歩きでたびたび事故を起こすようなレベルなのは、公道での運転は無限ともいえるような様々な状況の組み合せが起こり、それを瞬時に判断して運転操作する必要があるからで、ビッグデータという経験値が頼りの自動運転は、完成度を高めてモノになるまでにはまだまだ時間が必要だ。

 新制度ではサポカーに限定した免許を新設するだけでなく、更新時までに一定の違反歴がある高齢ドライバーには、免許更新の際に講習だけでなく、免許更新の際に実技検査を義務づける方針だ。

 また受験期間や回数などには制限はなく、何度でも挑戦して免許更新を目指すことができるようにするようだ。

 サポカーに限定した「限定免許」は、すでに普通免許などを持っている高齢者ドライバーなどが切り替えられるほか、運転に不安がある人が免許を取る場合にも選択できることになる見通し。

 検査は自動車教習所などで行い、実際にクルマを運転して一時停止やハンドル操作がスムーズにできるかをチェックし、免許の更新を認めない場合もある。

 対象とするドライバーの年齢については、75歳以上もしくは80歳以上にすることで検討が進められている。

 警察庁は、こうした内容を盛り込んだ道路交通法の改正案を2020年1月20日召集される通常国会に提出する見通し。

 今回の免許制度改正では、すでにサポカーでも重大事故を起こしている高齢者ドライバーにとって、十分な対策ではない、と考える人もいることだろう。

 また、高齢者の運転技能検査については、池袋の事故では飯塚元院長に事故歴はなかったため、高齢者全員に運転技能検査を導入しなければ効果が期待できないという意見もある。

 しかし、一足飛びに免許を定年制にしたり、更新するための条件の難易度を一気に引き上げることは制度全体の環境を整えるための時間が必要となるし、生活に困る人も出てくる。高齢者からの反発を招くことも考えられる。

 やはりクルマの安全技術の熟成や道路環境の整備と合わせて段階的に見直していく必要があるものだろう。

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