クルマ、道路環境、免許制度の三位一体で考えるべき
では高齢者ドライバーが免許を保持したまま、クルマも失わない生活を実現するにはどうしたらいいのだろうか。
ペダル踏み間違いに対する対策も、これまで以上に実用的な仕組みが必要だ。東京都をはじめ地方自治体で後付けできるペダル踏み間違い装置の補助金制度導入が始まっている。
現在搭載されている、あるいは後付けペダル踏み間違い装置は、進行方向に障害物を検知すると発進を抑制するというものだが、警告音や表示によってドライバーがペダルの踏み間違い、あるいは前後進操作間違いに気付いて、操作し直すことを想定している。
高齢者ドライバーでは自身の操作ミスに気付かず、警告音や表示に慌ててしまいパニック状態になってしまうことも考えられる。したがって誤操作した時にも慌てずに正しい操作をやり直せるよう誘導できる仕組みが必要なのだ。
熊本県のナルセ機材が発明した、ブレーキペダルの側面にアクセルレバーを一体化させたナルセペダルは、ユニークな仕組みの安全運転装置であるが、高齢者にとって足先を横方向に捻る動きは、角度の大きさと細かい調整が難しい。
つまり微妙なアクセル操作をしにくいことから、運転のハードルを上げてしまうという側面もありそうだ。
一方、EVベンチャー企業のFOMMが開発したパドル式アクセルは、ペダル踏み間違いという点はナルセペダルより有効だが、高齢者ドライバーの運転操作を見ていると手指の動きもおぼつかないケースもあり、繊細な動きを要求するのは厳しい場合も出てきそうだ。
この方法はFOMMのような小型軽量でモーターの出力も限られるマイクロEVだから特に有効なのであって、発進加速も強力で車重も重い普通車では、指先でアクセルをコントロールしたとしても繊細な操作が要求されるから、操作ミスを起こすリスクが高まる。
マイクロEVの普及が鍵を握る
やはり高齢者のラストワンマイルモビリティとして、マイクロEVの普及させるのが現実的には最もいい方法ではないだろうか。
2020年に国土交通省は、いよいよセニアカー(免許不要・歩道走行)と軽自動車の間を埋めるマイクロEVを規格化させるといわれている。
マイクロEVであれば、操作系を簡潔にしたり、ドライバーによってアクセルに対する加速の大きさなどの調整も比較的容易だ。自宅で充電できて、軽自動車よりも駐車場に止めやすいコンパクトなボディなど、高齢者にも扱いやすいことも魅力だろう。
経産省は2020年度にもマイクロEVの購入時に10万円の補助金を支給することを検討していると伝えられている。それが直接、購入の動機にはならなくても、購入を後押しする程度の効果は望めそうだ。
理想は補助金込みで、高齢者が購入しやすいように50万円程度で購入できること。エコカー減税やEV、燃料電池車の普及促進よりも、真っ先にやるべきではないだろうか。
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