「デートカー」「ハイソカー」など、クルマワードにはブームの終焉とともに使われなくなり、死語になったものも多い。その代表に「RV」がある。若い人からすれば「?」かもしれないが、懐かしく感じる人も多いのではないだろうか。SUVとミニバンが一般化する前の一大ムーブメントだった「RV」ブーム。1990 年頃から2000年頃までの当時を振り返りつつ、懐かしのワードを解説していきたい。
文:奥津匡倫(Team Gori)/写真:トヨタ、ホンダ、三菱自動車
【画像ギャラリー】スポーツカーも広義ではRVだった!? 細分化した“元RV車”たち(4枚)画像ギャラリーそもそも「RV」ってなんだっけ?
「RV」とはRecreational Vehicle(レクリエーショナルヴィークル)の略。余暇を楽しむためのクルマ、みたいな意味。日本ではレジャービークルという呼ばれ方も一般的だった。
アメリカ発祥とされるこのクルマワード、そもそもはキャンピングカーを指す言葉だったものらしいが、日本ではセダンやクーペ以外のものを幅広く指すカテゴリーとして使われていた。そのため、今では信じられないほど幅広い車種を含むものとなっていた。
「RV」に含まれるのは、今で言うとSUV、ミニバン、ステーションワゴン、クロスオーバー、キャンピングカーなど。ざっくり言えば、背の高い車種は全部そこに含まれる、みたいな感じ。
例えば現在のトヨタのラインナップで言えば、アルファードやヴォクシーはもちろん、ランドクルーザー、セダンを除くクラウン、さらにはカローラツーリング、場合によってはハイエースも含まれる。言うなれば、現在日本で買える新車のほとんどが含まれてしまうような超巨大カテゴリーだったのだ。
それまでのセダンが主流の日本のクルマ市場に新たな価値観を創造した、とても大きなムーブメントだったが、その後、主流となるミニバンが増えるにつれて、「ミニバン」や「SUV」などのそれぞれだけを指すワードが使われるようになり、カテゴリーが細分化。RVブームは現在主流となっているミニバンやSUVの下地となるブームだった。
ブームの時にRVに乗っていたらモテた?
「デートカー」が人気の時、プレリュードに乗っているとモテた、とか「ハイソカー」ブームの時、ソアラに乗っていたらモテた、など、そういう話題はいつの時代も事欠かないが、RVブームは車種が多岐に渡っていたためか、かつてのプレリュードやソアラのような“モテ車”の話は聞かなかった印象だ。主にファミリーユースを主体とする車種が多かったからだろうか?
しかし、当時の女子大生にパジェロが人気、とかハイラックスサーフに乗っていると女子受けがいい、みたいな話はあったので、多少は“イイ思い”をできた人がいたのかもしれない。
当時は今のようなSUVはまだなく、もっとヘビーデューティー指向なモデルが多かった。それらを好む女子……。今から考えると当時の女子たちはハード指向だった? それとも、その後訪れるSUVを先取りしていた? 真相は闇の中だが。
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