大幅値引きをしない理由を営業マンに直撃
「最近、SKYACTIV車は価格が大幅に跳ね上がっているのに販売店のマージン幅は逆に引き下げられているので、値引きをしたくてもできない状況にあります。それにメーカーの指示で再販価格を高くするために値引きを抑えるようにしています」という答えが、3店舗の営業マンから一様に跳ね返ってきた。
ではマツダ車の値引き額はいくらくらいなのか? 首都圏のナビ、ETC付きで主要車種におけるおおよその値引き額は以下の通り。ここに記した値引き額は、グレード、地域、時期の違いによる差が出てくるので参考程度に考えていただきたい。
マツダ2/5万~10万円、CX-3/17~20万円、マツダ3/5万~10万円、CX30/5万~10万円、CX-8/20万~23万円、CX-5/21万~24万円、マツダ6/20万~23万円となっている。
たしかにライバル他車に比べると値引き額は5万~10万円も渋い。それでいてSKYACTIV車は同クラスの他社のガソリン車に比べて約20万円高く、クリーンディーゼル車はこれより20万円高だ。
例えば、SKYACTIV-Xを搭載したマツダ3のXグレードは319万8148~368万8463円だが、同グレードの1.8LディーゼルXDに比べると40万7407円高、同グレードの2Lガソリンの20Sに比べ68万2407円高、最も安いマツダ3の1.5S(222万1389円)と比べると、97万6759円も高いのだ。
このうえで値引き幅が少ないのだから、価格競争力が弱くなるのは当然といえる。
マツダ車は、値引きはまったくしないということではないが、もともとの価格設定が高いうえに、値引き額を抑えているのは、営業マンからすれば売りにくいだろう。
かつてはMPVが80万円引き、アテンザが50万円引きといった、大幅値引きは今ではなくなっているということだ。
こうした指摘に対し、マツダディーラーの営業マンはこう釈明する。
「SKYACTIV-G、SKYACTIV-D搭載車はコストが開発、生産にコストがかかっており、大幅に値引きするクルマではありません。クルマのよさをわかっていただける方に大幅な値引きはせず、適正な価格で販売する方針をとっています。
さらにSKYACTIV-Xは SPCCI(火花点火制御圧縮着火)という、ガソリンを燃料としながら、ディーゼルエンジンと同じように圧縮着火を実現する燃焼方式を採用しています。
スーパーチャージャーやマイルドハイブリッドも装着されていてコスト高になっています。エンジン生産時の工作精度と検査工程の手間がかかっており、正直、コスト重視で作ったクルマではないので、値引きはほとんどできない状況です」。
ただ、マツダディーラーは、価格設定が高いなりに対策は施している。販売の中心となっている残価設定クレジットを組む場合の残価を高く設定している。
SKYACTIV搭載車については1ヵ月1000km、1年1万2000km以内の走行距離の条件で3年36回払いの残価を55%、5年60回で35%と設定し、これを保証している。
ライバル他社の主要モデルよりも3~5ポイントも高くしているのである。これは再販価格が国産で最も高いトヨタ車よりも高く、レクサス車並みである。
SKYACTIV-X搭載車はマツダ3やCX-30に搭載され、発売されたが、受注段階の販売構成比は10%程度と低い。
価格が2Lガソリン車より約68万円も高いうえに車両本体からの値引きはゼロを基本にしており、ハイオクガソリン仕様であるから余計に高くつくのも要因として上げられる。
はたして、このまま大幅値引きしないで大丈夫なのか、2020年の動向を注目していきたい。
コメント
コメントの使い方