インテリアに新味はないが走りは軽快でしなやかに進化(片岡英明)
フォレスターは2台乗り継いだから、今でも愛着があり、当然期待度も高かった。日本でのデビューが遅くなったのは不満だが、そのぶんクルマの仕上がりはとても満足だ。
エクステリアは代わり映えしなかった先代から大きく変わり、万人ウケするデザインになった。
インパネを中心とするインテリアは、最近のスバル車に多い大型ディスプレイを主役としたデザイン。まとまりはいいし、メーターなどの視認性も良好だが、もう少し新鮮味が欲しかった。
価格をドーンと上げたのだから、インテリアの質感や操作音などにも強いこだわりが必要だと思う。キャビンは満足できる快適性だ。
プラットフォームやサスペンションを練り上げたため、走りの実力は2ランクほど高められていた。
大幅によくなったと感じるのはハンドリングである。ボディの大きさと背の高さを意識させない、軽やかでしなやかな身のこなしが印象的だった。舵の効きはいいし、ロールした時の接地感と安心感も絶大だ。
サーキットが舞台だったこともあり、ターボ搭載で車両重量も軽い「スポーツ」のほうに好感を持った。だが、モーターが後押しするストロングハイブリッドも公道なら満足度は高いはずだ。
乗り心地も合格点だが、いずれ悪路で正しく評価したい。そして、サイクリストエアバッグの搭載はスバルの良心の表れだ。
●ポイント採点チェック
・ハンドリング:8.5点
・加速性能:8点
・乗り心地:8.5点
・4WD性能:8.5点
・先代からの進化度(先代を10点として):13点
・コストパフォーマンス:7.5点
キャラの違いが明快なS:HEVとDIT。公道や悪路での走行も楽しみだ(岡本幸一郎)
まだドライのサーキットでS:HEVの「プレミアム」とDITの「スポーツ」に乗った段階での評価だが、どちらも足回りがよく動いて乗り心地がよさそうな印象だった。
特にS:HEVは、クロストレックと同様にリアのダンパーロッドを延長し、横力を受けた時のフリクション荷重を低減することで、しなやかで上質な乗り味を追求したという。サーキット試乗ではDITとの差は小さく感じたが、公道ではより明確に違いが出そうだと感じた。
興味津々だったS:HEVのフィールは、車速が高まると加速が頭打ちになる感覚がクロストレックより早い気もしたが、低~中速域での俊敏なレスポンスはなかなか気持ちがいい。
スポーツはサーキットを走るぶんにはキビキビと軽快で吹け上がりも力強く、より楽しく走ることができた。作り分ける意義が感じられるキャラクターの違いだ。
従来型と乗り比べても新型は走りに一体感があり、接地感やコーナーでの姿勢が段違いによくなった。ただ、ウェットで乗った人の評価が実はあまり芳しくなかったという話も耳にしたので、実際どうなのかは気になっているところ。
最後にエクステリアデザイン。北米市場が重要なクルマなのでアメ車っぽいデザインになるのは納得だが、この顔は日本では好みが分かれそうかな……?
●ポイント採点チェック
・ハンドリング:7点
・加速性能:7点
・乗り心地:9点
・4WD性能:9点
・先代からの進化度(先代を10点として):14点
・コストパフォーマンス:7点


コメント
コメントの使い方狙い通りです。価格アップの大きさは無視してもいいから、中身を評論家が褒めるレベルに最初から仕上げる。
消費者が買いやすい値段で出すこと優先で、その中で刷新していくメーカーもありますが、スバルとしてはこれで大正解。
評価を得て、買える人に買って貰って、そういう金出した以上は愛車に甘い人にしっかり高評価してもらって、資金とポジションを得て次に繋げる、これが大事。安くする努力は後からでいい。