スポーツカーではベロや穴だけでなく、ボディ全体で空力特性をつくり出している
ただ、ベロや穴、突起などで効果が期待できるのは、一般的な乗用車まで。もっと速度が出るスポーツカーの場合はそうはいきません。
物理法則上、空気抵抗は速度が増すごとに2次関数的に増えていきます。時速100kmと時速150kmでは、クルマにかかる空気抵抗は2倍以上にもなり、時速200kmにもなると時速100km時の4倍、時速300kmだと9倍になる計算です。
そうした超高速領域になると、ベロや穴、突起などによる空気抵抗の低減だけではまったく足りなくなります。それだけでなく、超高速ではクルマが地面から浮いてしまうリフトフォースを抑制する必要があるため、クルマを地面に押さえつけるダウンフォースと空気抵抗の低減を、バランスよく取り入れる必要があり、各メーカーとも練りに練った空力アイテムを装備しています。
たとえば、時速300kmの巡行走行も想定されている日産GT-Rの場合、タイヤディフレクターはもちろんのこと、前後バンパーにもアンダーディフューザーを装着しているほか、フロア下に前から後ろまで極力フラットにするためのアンダーカバーも装着しています。床下を流れる気流を使って地面に吸い付くようなエアロダイナミクスとしているのです。
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こうした空気抵抗の低減は、クルマの電動化が進むなかにおいて、非常に重要。従来のガソリンエンジン車は、速度が上がって巡行走行になると燃費はよくなりますが、EV走行では、巡行走行をしていても、速度が上がるぶんだけ燃費(電費)は悪くなるからです。
個々のアイテムの効果は微々たるものですが、チリも積もれば山となります。何気なく装備されているクルマの部品は、実は重要な役割をもつものばかりなのです。
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コメント
コメントの使い方こんなことバラしたら、カッコツケたがりのお馬鹿さんに車高調やエアロパーツが売れなくなるじゃないか!
これ、豪雪地帯だと雪解けと同時にどっかいってるんだよね
MH22のワゴンRみたいに
カナードが空力でなくタイヤ横の整流目的なのは有名ですが、フロントバンパー端の造型も、貫通していなくても前タイヤハウス内やその周囲の整流効果がありますよ。
穴開いてないと意味ないじゃん!と思いがちですし、勿論風洞実験しっかりした上でなら開いててて効果的なのですが
穴は空気抵抗になりますし、造型やカナードで対応できれば軽量かつ衝撃吸収にも有利です。開いてりゃいいってもんじゃないことを是非知って下さい。