トヨタのミニバンとして2003年1月に登場したウィッシュ。2009年には2代目モデルへとフルモデルチェンジを果たし、2017年まで継続販売がなされたモデルであるが、晩年はともかく初代の人気は凄まじく、2003年度の販売台数ランキングでは1位のカローラ、2位のフィットに次ぐ3位の販売台数を叩き出していた。ではなぜ、初代ウィッシュはそこまでの人気車種になったのだろうか?
文:小鮒 康一/画像:トヨタ、ホンダ
【画像ギャラリー】ミニバン需要の変化で勝利者などいない? つわものどもが夢のあと でもアツかったストリーム対ウィッシュのTHE MATCH(16枚)画像ギャラリーホンダ ストリームとガチンコライバルだったウィッシュ
初代ウィッシュを語る上で外すことができないのが、2000年にデビューしたホンダ ストリームだろう。
全高が低く、セダンに近いスポーティな走り味を楽しむことができながらも、多人数乗車ができる車種として大ヒットを記録したオデッセイを擁するホンダだったが、当時としては幅広な3ナンバーサイズだったことがネックとなっていた。
そこでシビック系のメカニズムを流用し、5ナンバー幅で同様のコンセプトを持ったモデルとしてリリースされたストリームは一躍人気車種となり、発売から10か月で累計販売台数10万台を越えるというホンダの新記録を更新するほどだったのだ。
ポリシーはあるかと煽られながらもアドバンテージを確立
しかしトヨタは同系統の車種を当時はラインナップしておらず、そこに対抗するモデルとしてウィッシュが作られたというため、ストリームの特徴を完全に併せ持っており人気になるのは当然だったと言えるだろう。
しかもウィッシュは、エントリーモデルの価格がストリームと同じ158万8千円とメチャクチャ戦略的なものとしていたのだが、ストリームは1.7Lエンジンだったのに対し、ウィッシュは1.8Lと税金などは変わらないのに排気量が大きいというアドバンテージがあったのも人気となった理由のひとつだった。
一方、ストリームはリアサスペンションがシビック譲りのダブルウィッシュボーン式で、トーションビーム式のウィッシュよりも確実にお金がかかっていたのだが、この手のミニバンを購入する層の多くはそこまで気にする人は決して多くなく、割安感が高く販売力の強いトヨタのウィッシュに流れていってしまったというワケだ。
ただその後はだんだんミニバンを求めるユーザーは走りの良さよりも室内空間の広さや便利なスライドドアに重きを置くようになり、背が低くヒンジドアのストリームやウィッシュの需要は縮小していき、どちらも2代目モデルを最後にラインナップから姿を消すこととなってしまった。


















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