■生まれ変わったトヨタ スバルも新たな時代のファン獲得を目指すべき
かつて、トヨタは退屈なメーカーだったが、豊田章男社長を始めとする、クルマ大好きなトップがモータースポーツ活動に力を入れ、それとリンクするクルマを世に送り出すことでブランドのイメージが大幅に若返った。以前の前衛的だったホンダと、企業イメージが逆転してしまったような気さえする。
そしてスバルは、ホンダと同じような保守的なイメージが年々強まっている感じがしてならない。ホンダはF1やモトGP参戦を続け、まだ世界一に挑む姿勢が感じられるが、今のスバルにはそれがない。いやはや寂しい限りだ。
本来ならば、GRヤリスのようなクルマは、スバルこそ作るべきではなかったのか? 次期WRX STIは2.4Lターボの開発難航により大きく遅れているようだし、出たとしてもよりGT色が強まる予感がする。
軽くて、キビキビしていて、エンジンがシュンと回るという、GRヤリスの美点は、まさに初代GC8インプレッサWRXのウリだった。トヨタが優等生の殻を破り、スバルが保守方向に突き進む。その逆転現象を52才の自分はなかなか受け入れられない。
かくなる上は、再びモータースポーツで世界一を目指し、それに出場するためのクルマを世に送り出してはいかがだろうか? WRCがそれに値すると思わないのならば、レースの世界でもいい。下位クラスで優勝できたりできなかったりという現状は、プロモーションとしても決していいことではないし、人材育成という点においてもプラスではない。やはり、世界で1番を目指すことで人は育ち、ファンも増えるのだ。
完全にトヨタのグループ入りした今、モータースポーツ参戦への理解は以前よりも得やすい状況にあるのではないか? WRC参戦ベース車に最適なクルマがないのであれば、GRヤリスをベースにスバル色を強めたAWDターボ車を開発してみてはどうか? BRZと86、あるいはBMW Z4とスープラの関係のように、双方にとってポジティブな効果が得られるかもしれない。
その際は水平対向エンジンの搭載を諦める必要があるが、4WDシステムやサスペンションのチューニングで独自色は出せるはずだ。WRX STIはあえてGT色を強めてサーキット指向とし、GRヤリスの姉妹車は生粋のラリーベース車を目指す。熱狂的なボクサーエンジン党は大反発するかもしれないが、新しい時代のファンを獲得できる可能性はあるはずだ。
■2020年についにラリージャパン復活 盛り上がりはどうなる!?
2020年は11月にWRCラリージャパンが愛知、岐阜で開催される。そのテストイベントとして2019年11月に行なわれたセントラルラリーは、想像を遥かに超える盛り上がりだった。日本のラリー人気が再び高まっていることを実感した。夏に東京オリンピックが終わった後、ラリージャパンは大きな注目を集めるに違いない。
しかし、WRC開催となるとカテゴリー的に全日本ラリー仕様のWRX STIや、三菱ランサーエボリューションの出る幕はない。せっかく日本でWRCが開催されるのに、長年ラリーに力を入れてきたスバルと、そのユーザーが参戦できないのは残念でならない。ここはやはり、GRヤリスをベースにしたスバル独自のWRカーを開発し、再び世界を目指して欲しい。
個人的に、GRヤリスに大きな興味があり、真剣に購入を検討している。しかし、もしスバルがその兄弟車を出し、WRCやレースで世界一を目指そうとするならば、スバルを選ぶかもしれない。そんな潜在的なスバルユーザーは、決して少なくないはずだ。スバル上層部の英断に期待したい。
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