プリメーラ、セフィーロ、パルサー、ラフェスタ…日産はかつての名車ブランド遺産を生かすべき!

実直なコンパクトカーの代表格「パルサー」

 1978年にデビューした「パルサー」は、日産のコンパクトカーとして長く愛されたモデルだ。サニーよりも若年層を意識し、セダン、ハッチバック、さらに高性能モデル「GTI-R」など多彩なバリエーションが用意されていた。

 中でもWRC(世界ラリー選手権)ホモロゲーションモデルとして開発された、1990年登場のN14型「GTI-R」は、コンパクトなボディに最高出力230psを発揮するSR20DETターボエンジンと4WDを組み合わせたハイパフォーマンスモデルとして注目された。一見、落ち着いた雰囲気のモダンなスタイリングでありながら、巨大なフードバルジや巨大なリアスポイラーなど、かなり攻めた雰囲気が個性的なモデルであった。

 その後は欧州テイストを強めた5代目を経て、2000年に国内販売を終了。2012年には海外市場向けに復活し、比較的最近の2018年まで販売されていた。

パルサーGTi-R。230psを発生するSR20DETエンジンを無理矢理ボンネットに押し込んでいたため、フロントヘビーだの冷却性能うんぬんなど色々いわれたが、いまとなっては、こういうクルマを出せた日産に戻って欲しいと思う
パルサーGTi-R。230psを発生するSR20DETエンジンを無理矢理ボンネットに押し込んでいたため、フロントヘビーだの冷却性能うんぬんなど色々いわれたが、いまとなっては、こういうクルマを出せた日産に戻って欲しいと思う

小型ミニバンの隠れた名作「ラフェスタ」

 2004年に登場した「ラフェスタ」は、セレナよりひと回り小さい5ナンバーサイズのミニバンだ。都市部やファミリーユーザーをターゲットとし、コンパクトながらも使い勝手に優れたモデルで、特にスクエアなフォルムが特徴的だった初代モデルは、大開口のサンルーフ「パノラミックルーフ」や両側スライドドア、低床設計といった機能性を備えるなど、非常によく練られたパッケージングで、小型ミニバンの「隠れた名作」だった。

 2代目はマツダ「プレマシー」のOEM供給モデルとなり、それも2018年に販売終了となってしまったが、セレナ一本化により「ミニバンの選択肢」が狭まったことを惜しむ声は少なくない。

2004年登場のラフェスタ。コンパクトながら、よくできたミニバンであり、いまも販売が継続されていれば、シエンタやフリードの強力なライバルになっていただろう
2004年登場のラフェスタ。コンパクトながら、よくできたミニバンであり、いまも販売が継続されていれば、シエンタやフリードの強力なライバルになっていただろう

「昔のクルマ」で終わらせるには惜しい

 当時の時代背景やユーザーニーズに的確に応え、それぞれが強い個性を備えていたこれらのモデルは、いまのラインアップにはないキャラクターや思想を備えており、単なる「過去の車種」として埋もれさせてしまうのはあまりにも惜しい。

 こうした一度幕を下ろしたブランドを、いまあらためて日産が再構築することは、当時のファンにとって嬉しいことであるばかりでなく、新しい魅力や価値をもたらす可能性も秘めている。日産はこれまで多くの個性的なモデルを世に送り出し、ユーザーから愛されてきた、日本の自動車文化を語るうえで欠かすことのできない存在だ。ラインアップの再構築を進めるいまこそ、これまでに築き上げてきたブランドに対する自信と誇りをもって、これら名車たちの活用にも目を向けてほしいと思う。

【画像ギャラリー】小型ミニバンとして、隠れた名車だった 日産の初代「ラフェスタ」(17枚)画像ギャラリー

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