自動運転車を近くで撮っちゃダメ!! スマホがぶっ壊れる可能性があること知ってた?

自動運転車を近くで撮っちゃダメ!! スマホがぶっ壊れる可能性があること知ってた?

 日本各地で自動運転バスが走るようになり、都市部では自動運転の開発車両を見かけるようになった。「お、珍しい!」とスマホで撮影するのはちょっと待った。信じられないことに、スマホのカメラが壊れてしまう可能性があるからだ!

文:ベストカーWeb編集部/写真:ボルボ、Adobestock(トビラ写真=metamorworks@Adobestock)、ベストカーWeb編集部

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ボルボを撮影したらスマホが壊れた?

ボルボの電動SUV「EX90」。ルーフに見える空気取り入れ口のようなものがLiDARだ
ボルボの電動SUV「EX90」。ルーフに見える空気取り入れ口のようなものがLiDARだ

 数カ月前、筆者(ツノダ)は不可解な体験をした。某社の自動運転車両を動画に収めようとスマホを向けた途端、画面に無数の虹色の縦横線が走り、カメラ(望遠側レンズ)が使い物にならなくなってしまったのだ。

 そのときはてっきり、スマホをマウントに固定する際に無理な力をかけたことが原因だと落ち込んだのだが(いまだに原因特定はできず)、数週間後に偶然、SNSのRedditで奇妙な動画を見つけた。

「Never film the new Ex90 because you will break your cell camera.Lidar lasers burn your camera(新しい Ex90 を撮影するな。携帯電話のカメラが壊れる。LiDAR レーザーはカメラを焼き尽くす)」と題されたその動画では、ボルボの新型EV「EX90」を紹介したかったらしいのだが、ルーフ前端にあるLiDAR(クルマの周囲にある物体の距離と形を把握するためのレーザー装置)にスマホを近づけたとたん、スマホの画面にチカチカとカラフルなドットの軌跡が焼き付いてしまったのだ。

 この軌跡、レンズの乱反射や色収差じゃないから消すことは不可能。どうやらLiDARの発する近赤外線光が、スマホのイメージセンサーを壊してしまったらしい。

眼にはOKでも敏感なイメージセンサーはダメ

EX90のユーザーマニュアルにある「外部カメラに損傷を与える可能性」という記述(赤い囲み部分)
EX90のユーザーマニュアルにある「外部カメラに損傷を与える可能性」という記述(赤い囲み部分)

 実はボルボ自身も、この事実を把握し、注意を促している。EX90のユーザーマニュアルを見てみると、「LiDAR検出と限界」という項目があり、そこでの注意書きに「LiDARの光波は外部カメラに損傷を与える可能性がある」と明記してあるのだ。

 こう書くとなにやらLiDARは「殺人レーザー光線」のように思われるかもしれないが、波長や出力が人体にダメージを及ぼさないよう設計されているから基本的に心配はいらない。

 カメラのイメージセンサーも、遠方からLiDARを狙う分にはおそらくダメージはないと予想するが、近づけるのは禁物。人間の網膜よりも高感度かつ広範囲に光を捉えるよう作られているので、LiDARの近赤外線(波長905nmあるいは1550nm)の「餌食」となってしまう可能性があるのだ。

各地を走る自動運転車を撮る時には注意!

自動運転バスにもLiDARが搭載されている場合が多い(※写真と記事は関係ありません)
自動運転バスにもLiDARが搭載されている場合が多い(※写真と記事は関係ありません)

 さて、ここで例となったのはボルボEX90だが、同車はまだ日本では発売されていない。ならば安心かといえば答えはノー。すでにLiDARは、各地で導入が進む自動運転バスや、ウェイモなどが都内を走らせている自動運転の開発車両などにも搭載されていることが多いからだ。

 そんな自動運転車両を見かけると、物珍しさも手伝ってついついスマホを向けてしまいがちだが、当面はLiDAR部分をアップで撮ることだけは避けたほうがよさそう。

 スマホ対LiDAR。ハイテク機器どうしが起こした現代ならではのコンフリクト(衝突)といえるが、できればこんなややこしい状況は解消してほしいものだ。

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