冠水してたら走っちゃダメ! どうしても走り抜ける必要がある時は…「ゆっくり」と!

冠水してたら走っちゃダメ! どうしても走り抜ける必要がある時は…「ゆっくり」と!

 気象庁によると、大雨の年間発生回数は近年有意に増加しており、特に雨の強度が高いほど、その増加率が大きい傾向にあるといいます。たとえば、1時間降水量80mm以上などの強度の強い雨は、1980年頃と比較して、おおむね2倍程度に頻度が増加しているそうです。

 クルマを運転中にこうした激しい雨に見舞われてしまった際、注意するべきポイントはいくつかありますが、そのひとつが道路の冠水。冠水路は「走らない」が鉄則ですが、どうしても通行しなければならない場合には「走り方」に注意することが必要です。命とクルマを守るための「冠水路の正しい対処法」を確認しましょう。

文:yuko/アイキャッチ画像:Adobe Stock_NOBU/写真:Adobe Stock、写真AC、国土交通省

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冠水路は「走っちゃダメ」

 まず大前提として、冠水している道路をクルマで通行してはいけません。冠水した道路では、タイヤのグリップ力が低下するため、ハンドルやブレーキによってクルマをコントロールできず、クルマを安全に運転することができなくなるほか、エンジン内部に水が入ってしまうことで、エンジンが故障してしまう可能性があるからです。

 エンジンのないバッテリーEVの場合も、高電圧バッテリーや電動モーターは基本的に防水設計されていますが、補機用の12Vバッテリーはガソリン車と同じく水に弱い特徴があるなど、過信は禁物です。冠水路に進入することはまた、水没によって乗員が閉じ込められてしまう原因にもなります。

 国土交通省は、「水深が車両の床面を超えると、エンジン、電気装置等に不具合が発生するおそれがあり、水深がドアの高さの半分を超えると、ドアを内側からほぼ開けられなくなる」としています。この「車両の床面を超える水深」とは、乗員が座っている床の高さのことで、一般的な乗用車で250~300mm程度となります。

 しかしながら、冠水してしまった道路の水深を見た目で判別することは難しく、ごく浅く見えたとしても意外と水深が深い可能性があります。また、水の中に何らかの障害物がある可能性もありますし、マンホールの蓋が外れていたり、側溝が崩れていたりする可能性もあるでしょう。濁った水によって水底が見えないからこそ、危険を予測する判断が重要。冠水してしまった道路は「走らない」が鉄則です。

国土交通省がまとめた、冠水した道路を走行する場合に発生する不具合。水深が車両の床面を超えると、安全に通行することは難しくなる(画像は国土交通省の資料より)
国土交通省がまとめた、冠水した道路を走行する場合に発生する不具合。水深が車両の床面を超えると、安全に通行することは難しくなる(画像は国土交通省の資料より)
冠水してしまった道路は、見た目以上に深い可能性があるほか、水の中に何らかの障害物がある可能性も。冠水してしまった道路は「走らない」が鉄則だ(PHOTO:Adobe Stock_taka)
冠水してしまった道路は、見た目以上に深い可能性があるほか、水の中に何らかの障害物がある可能性も。冠水してしまった道路は「走らない」が鉄則だ(PHOTO:Adobe Stock_taka)

どうしても進むしかないときは、ゆっくりと!!

 ただ、そうはいっても、緊急時には、そうもいっていられないこともあります。どうしても走り抜ける必要がある場合に心がけてほしいのは「ゆっくりと進む」こと。波を立てないよう、ごく低速でゆっくり一定の速度で進むことを心がけてください。

 こうすることで水深を確かめながら走行することができますし、何らかの障害物に遭遇してしまった際も、衝撃を最小限に食い止めることができます。また、波を立てないように走行することで、必要以上にクルマに水が侵入しないようにすることもできます。

 水深60センチの冠水路を、電気自動車とハイブリッド車、ガソリン車(軽自動車)で走行した際のそれぞれの走行性能や安全性について検証をしたJAFの実験でも、時速10キロでは3つの実験車両すべてが走り切ることができた(ガソリン車は走り切ることはできたが、エアクリーナーの一部が漏れた)のに対し、時速40キロでは、ガソリン車(軽自動車)が走り切ることができず、車内に大量の水が浸水、途中で停止してしまったという結果が出ています。

 電気自動車とハイブリッド車についても、走り切ることはできたものの、複数の警告灯が転倒したり走行後にエンジンが停止したり(ハイブリッド車)などの異常が発生したそうで、同じ水深であっても、走行速度によって影響が大きく違うことがわかります。

冠水路走行テスト ~電気自動車(EV)・ハイブリッド車(HV)・ガソリン車で検証~(JAFユーザーテスト)

どうしても走り抜ける必要がある場合には「ゆっくりと進む」こと。波を立てないよう、ごく低速でゆっくり一定の速度で進むことを心がけて(PHOTO:Adobe Stock_KTK Creatives)
どうしても走り抜ける必要がある場合には「ゆっくりと進む」こと。波を立てないよう、ごく低速でゆっくり一定の速度で進むことを心がけて(PHOTO:Adobe Stock_KTK Creatives)

次ページは : 前走車が走り抜けたからといって、自車が走り抜けることができるとは限らない

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