まだまだ残暑厳しい時期ではあるが、ブリヂストンと横浜ゴムから、2025〜2026年の冬シーズンに向けた新しいスタッドレスタイヤが発表された。いったいどんなタイヤに仕上がったのか? 両社の最新スタッドレスをご紹介しよう!!
※本稿は2025年8月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ブリヂストン、横浜ゴム、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年9月10日号
ブリヂストン BLIZZAK WZ-1
●BLIZZAK WZ-1のポイント
・新開発「親水性向上ポリマー」を配合した発泡ゴムにより、さらにアイスグリップを高める
・アイス制動11%、アイス旋回4%、ウェット制動5%、VRX-3に対しそれぞれ向上
・新開発トレッドパターン「L字タンクサイプ」が水膜除去性能を高める
国内におけるスタッドレスタイヤの進化はすなわちブリザックの進化と言ってもいい。それほどブリザックはスタッドレスタイヤの性能をリードしてきた。
2021年に『VRX-3』が登場した時、「まだ伸びしろがあったのか!!」と驚いたものだ。その前の『VRX-2』では氷上制動など、アイスバーンでの性能は大きく進化した一方、ドライ舗装路での操安性にやや腰砕け感があるなどのネガもあった。
そこで『VRX-3』は新開発発泡ゴムを採用してアイス性能を引き上げながら、懸案だったドライ操安も大幅に引き上げ、高い総合バランスを見せつけた。
さらなる高みを目指した究極のブリザック
『VRX-3』に搭載される楕円形の発泡ゴムは、毛細管現象を利用して高い吸水性能を発揮する。
最新の『WZ-1』ではこれに加え、それでも除水しきれなかったトレッド面と氷面に残った水膜を、新開発配合した親水性向上ポリマーの作用により抵抗を発生させることでグリップを高めるのだという。
ちょっとわかりにくいのでかみ砕いて説明する。タイヤには油分が含まれるため、トレッド面はあたかも撥水材を塗布したフロントウィンドウのような状態で、水膜はコロコロとした微細な粒となってグリップ力を奪う。
しかし、新配合された親水性向上ポリマーが水膜に触れることで、水は粒状にはならず、薄く広がることでタイヤとの隙間で抵抗となり、ジワリと粘るようにグリップ力を高める効果を生むのだという。
除水効果を高めるのはゴムだけではなくトレッドパターンの工夫にもよる。サイプの片端を閉じる形状とすることでブロック側への水の侵入を抑制。さらに接地圧を均一化するプロファイル形状などで安定した接地面を実現。
これらの相乗効果でアイスグリップのみならず、スノー性能やドライ性能も引き上げたのが『ブリザックWZ-1』 なのだ。全119サイズで多くの車種に対応する。
横浜ゴム ice GUARD 8 iG80
●ice GUARD 8のポイント
・吸水量を8%向上させた新開発「冬ピタ吸水ゴム」を配合し、氷上面への接触密度を63%拡大
・アイス制動14%、アイス旋回13%、それぞれアイスガード7に対し引き上げた
・ウェット性能3%、ドライ性能3%向上。さらに静粛性も22%向上
スタッドレスタイヤの進化は主にアイス性能の進化というのが、これまで各タイヤメーカーが力を注いできた部分だ。横浜ゴムの『アイスガード』も、世代を重ねるごとに「まだ、こんなに伸ばせる技術があったのか!?」と驚かされる進化を遂げてきた。
特に2021年に登場した『アイスガード7』では、新開発された『ウルトラ吸水ゴム』の配合により、格段に氷上グリップを高めながら、従前からアイスガードが得意としてきたスノー操安性能やドライ操安もさらに高め、バランスのいいスタッドレスタイヤに仕上がった。











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