受注開始わずか18時間で24万台は本当!? 話題のBEV・シャオミ YU7とは

受注開始わずか18時間で24万台は本当!? 話題のBEV・シャオミ YU7とは

 日本ではスマートフォンやワイヤレスイヤホンで有名な中国のシャオミが、電気自動車の驚異的な受注で世界を騒がせている。話題のシャオミ YU7に加え、競合の一汽トヨタ bZ5、東風ホンダのS7に中国車研究家の加藤ヒロト氏が迫る!!

※本稿は2025年8月のものです
文、写真:加藤ヒロト(中国車研究家)
初出:『ベストカー』2025年9月10日号

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もはや一般ユーザーには「過剰」なほどの高性能

ディーラー取材に行った時もお客でにぎわっていた。ディーラーによると購入者はミーハー気質の初心者が多いという
ディーラー取材に行った時もお客でにぎわっていた。ディーラーによると購入者はミーハー気質の初心者が多いという

 2024年3月に自社製「高性能」BEVを発売したことで一気に脚光を浴びた電機メーカー「シャオミ」だが、早くも2025年6月には第2弾モデルを投入、じわじわと納車が進んでいる。

 セダン「SU7」に続く、SUV「YU7」は、SU7と同じ「モデナ」プラットフォームを採用し、エクステリアもSU7をそのままSUVにしたような印象だ。

 フロントで大きく変わった点は、エアインテークを融合させたヘッドライトで、ユニット上部からタイヤハウス上部を通過、ボンネット後端の出口へ繋がっていることをショールームの実車で確認した。

 また、新興メーカーを中心に採用が進む「ギガキャスト」も車体後方の成形に用いられており、後輪の奥を覗くと、かすかに格子状の構造が姿を見せる。

 駆動モーターは最大回転数2万2000rpmを誇る自社開発の「HyperEngine V6s Plus」を全グレードで採用。これを前後に搭載する最上位グレードでは出力681hp/トルク88.3kgmを叩き出す。

 一般的なBEVと比べても凄まじい性能を有する一方、YU7の購入層はSU7と同じくミーハー気質なクルマ初心者が多く、そういった人にはあまりにも過剰だ。

受注台数は盛ってる感アリアリ!?

シャオミ YU7。全長4999×全幅1996×全高1600mm、ホイールベース3000mm。一充電航続距離は760〜835km(CLTC)
シャオミ YU7。全長4999×全幅1996×全高1600mm、ホイールベース3000mm。一充電航続距離は760〜835km(CLTC)

 これほどの加速性能があるからには、しっかりとした制動性能も必要不可欠だが、筆者がSU7に試乗した際にはブレーキがかなり頼りなく感じた。

 SU7の高性能モデル「SU7 Ultra」ではフロントに曙ブレーキ製対向6ポッドキャリパーを採用するが、YU7では実車を見たかぎり、通常のSU7と同じブレンボ製対向4ポッドキャリパーのようだった。

 SU7よりも広くなったインテリアは快適性を重視しており、フロントシートには新たにオットマン機構を採用、足元が広いSUVならではの要素だ。

 また、ドライバー視点ではインストルメントパネルの廃止も特筆すべき点で、運転に必要な情報や再生中メディアの表示はすべてフロントガラス下部に映し出されるHUDで確認できる。

 通常のクルマはHUDを透明なガラスに投影するのに対し、YU7は投影範囲を真っ黒にすることで全天候型の奥行き感ある表示になっているのに驚いた。

 価格は約530万〜690万円にもかかわらず、シャオミは予約開始18時間で24万台を受注したと主張するが、この数字には国内からも疑問の声が上がっている。

中国で販売中の日本のBEVの実力は?

●一汽トヨタ bZ5

特別パワフルではないFFのbZ5だが、街なかで使うには必要十分な性能だ
特別パワフルではないFFのbZ5だが、街なかで使うには必要十分な性能だ

 毎月6000台を販売するbZ3Xに続いてトヨタが投入するのが、若年層を想定した一汽トヨタの「bZ5」だ。

 四輪駆動は設定されずに出力268hpの前輪駆動のみ、街乗りからちょっとした高速クルージングまでならこれぐらいの性能でまったく問題ない。

 ウィンカーボタンはハンドル盤面上、ライト/ワイパーがパドル操作なのは少々戸惑ったものの、いったん慣れたらゲームのコントローラーのように指先で直感的に操作できる。

 価格はbZ3Xよりもわずかに高い約270万~415万円からとなっている。

●一汽トヨタ bZ5 全長4780×全幅1866×全高1510mm、268hp/33.6kgm、リチウムイオンバッテリー65.28kWh/73.98kWh(LFP)、一充電航続距離550〜630km

●東風ホンダ S7

デザインも走りもスポーティなS7は重量配分、足回りにもこだわっている
デザインも走りもスポーティなS7は重量配分、足回りにもこだわっている

 中国BEV市場で巻き返したトヨタや日産に続きたいところだが、ホンダの「S7/P7」は早くも不振だ。

 今回試乗したのは東風ホンダの「S7」で、低いシルエットにシャープなラインがスポーティさを演出する。

 サスペンションは2代目NSXと同じ前・ダブルウィッシュボーン、後・マルチリンクという組み合わせ、そして50:50の重量配分なために走りは抜群にいい。

 一方で運転支援機能は競合の後塵を拝し、約415万円からという価格も高い。それゆえに業績は振るわず、2025年6月の販売は54台のみと低迷している。

●東風ホンダ S7 全長4750×全幅1930×全高1625mm、268〜470hp、42.8〜78.5kgm、リチウムイオンバッテリー89.8kWh(NCM):一充電航続距離620〜650km

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