ランクル300の登場を皮切りに兄弟が続々登場し、レクサス版ランクルであるLXとGXも含めてラインナップを充実させたトヨタ ランドクルーザーファミリー。片岡英明氏が街乗りを通して、ランクル兄弟たちの魅力を解説する。
※本稿は2025年8月のものです
文:片岡英明/写真:奥隅圭之
初出:『ベストカー』2025年9月10日号
都市部で乗っても魅力を満喫!
ファンから“ランクル”と親しみを込めて呼ばれているのがトヨタのランドクルーザーだ。
単一ブランドとして日本で最も長い歴史を誇るクロスカントリーSUVで、キャッチフレーズは「どこへでも行き、生きて帰って来られるクルマ」である。
2021年夏、フラッグシップのランクル300がベールを脱いだ。そして2023年秋、数々の伝説を持つランクル70が復活する。2024年春にはプラドの後継となるランクル250も加わった。
さらに、基本メカニズムを共有するレクサス版のランクル、レクサス LXとレクサス GXも加わった。本家シリーズに加え、親戚筋のレクサス2兄弟が加わりラインナップは充実した。
ランクルファミリーはすべて堅牢なラダーフレームを採用する。ランクル70以外は最新のGA-Fプラットフォームだ。2850mmのホイールベースも共通である。
駆動方式はトルセンLSD付きのハイ/ロー切り替え式トランスファーを装備したフルタイム4WDだ。これも最新設計の4車に共通している。
ランクル70は、ワゴン登録ではあるが、クラシックな趣が強い。悪路走行を強く意識したラダーフレームを採用し、サスペンションは前後ともリジッドアクスルを受け継いだ。フロントはコイルスプリング、リアはタフな半楕円リーフスプリングである。
ちなみにほかのランクルはダブルウィッシュボーンとトレーリングリンクの組み合わせだ。
パワーユニットは、キャラクターに合わせてキッチリと差別化が図られている。ランクル300とレクサス LX、そしてレクサス GXが搭載するのは3.5LのV型6気筒DOHCツインターボだ。レクサス LXにはパラレルハイブリッドの700hが加わった。また、ランクル300は上質な3.3LのV6ディーゼルターボも用意している。
ランクル250とランクル70が搭載するのは直列4気筒DOHCエンジンだ。主役は2.8Lのディーゼルターボで、ランクル250はハイ/ローの副変速機を持つ8速AT、ランクル70は6速ATを組み合わせた。唯一のガソリン車はランクル250に用意され、こちらは6速ATだ。
V6エンジン搭載車は最新の10速ATだから、エンジン本来の上質ムードに加え、高速走行での静粛性や山岳路での滑らかな変速など、走りでも差をつけた。
ファミリーで明確なキャラクターを設定する
が、年功序列でないのがランクルの偉大なところだ。オンロードでスポーティな味わいが強いのはレクサス GXとランクル250である。ランクル初採用の電動パワーステアリングの操舵フィールは秀逸だ。軽快な身のこなしを披露した。
高速道路などを悠々と流す走りや後席での快適性にこだわるなら、レクサス LXとランクル300がいい。
レクサス LXのエグゼクティブは後席が左右独立の4人乗り仕様だから群を抜いて快適だ。ほかのグレードとレクサス GXには5人乗りと7人乗りを設定した。
ランクル70を除いてキャビンは同等の広さだが、3列目以外はロングドライブに耐えられる快適性を確保している。空調の快適性能はレクサス LXとランクル300が一歩上を行く印象だ。
ランクル70は5人乗りだけの設定だが、後席シートフレームはランクル300のものを採用した。前作と比べて快適性は向上している。ただし、ボディサイズは意外にも大きく、舵も利かないから取り回し性は他の兄弟に劣る。
自慢の悪路走破性能もVSCとブレーキLSDは装備するものの、最新の電子デバイスは付かないから慣れと経験が必要だ。
レクサス LXとランクル300は快適性の極み、ランクル250は取り回しがよく街なかでも気負わず快適な走りを楽しめた。


















































コメント
コメントの使い方