マジで!? 昔は普通だった!! 「昭和・平成の運転」あるある

下り坂はニュートラルにして惰性走行すると燃費アップ

マジで!? 昔は本当にこれが普通だった! 「昭和・平成の運転」あるある
現代のクルマには、エンジンブレーキ時に燃料供給を止める燃料カット機能があるため、ニュートラルにすると、エンジンはアイドリングを続け、かえって燃料を消費してしまう

 最近ではあまり聞かなくなったが、昔は「下り坂はニュートラルで下ると燃費が良くなる」と言う人がけっこういた。

 しかし、現代のクルマを下り坂でNレンジ(ニュートラル)にすると、アイドリングを維持するための燃料は消費され、Dレンジなどのエンジンブレーキ使用時では燃料カットが行われる(燃料消費量ゼロ)ようになっている。よって、NレンジよりもDレンジなどにしたほうがむしろ燃費は上がる。

 一方、かつて言っていた「下り坂はニュートラルで下ると燃費が上がる」は、ニュートラルにシフトすること自体が燃費アップにつながるのではない。アイドリングのための燃料はきちんと消費していたのだから。

 ただ、ニュートラル以外のギアでの下りでは、エンジンブレーキによって不要に減速させられ、その後の平坦もしくは上り坂でアクセルを余計に開けた時に燃料をより多く消費したのは事実。それを「下り坂ではギアをシフトしておくよりもニュートラルにしたほうが燃費が良くなる」と言っていただけなのだ。

 時代は進化し、現代の欧州車には低燃費機能としてアイドリング程度の回転数で走行(ニュートラル状態)する、「コースティング(惰性)モード」を搭載するクルマもある。

 平坦でまっすぐな高速道路などで有効で、緩やかに速度が変化するためアクセルペダルを踏むことが減り、結果的に燃料消費量が少なくなるメリットがある。もちろん、エンジンブレーキが必要な時はブレーキペダルを踏むことでモードは解除される。

信号待ちではニュートラル

マジで!? 昔は本当にこれが普通だった! 「昭和・平成の運転」あるある
AT車がまだ普及し始めた頃の教則本では、長時間停車時(踏切待ちや渋滞など)は Nレンジに入れてサイドブレーキをかけると書かれている時代もあったのだ

 MT車全盛の昔は、停車中にニュートラルにするのは一般的だった。なぜならクラッチペダルを踏んで停車状態を維持しようとすると、左足が特に疲れるから。そして発進時にはその直前に1もしくは2速にシフトすればいい。

 AT車であっても、クリープ現象によって前に進まないように右足でブレーキペダルを踏んでおく必要があり、少し長めの信号や渋滞時となるとこれも疲れの原因となるため、Nレンジに入れる人はいた。

 ではなぜPレンジではなくNレンジなのか? 

 Pレンジへのシフトはボタンを押しつつ一度Rレンジを通過してからシフトしないといけないが、NレンジならDレンジから近く、そのままシフトできる。

 現代でも交差点でニュートラルにシフトする人は一定数おり、クルマに乗りっぱなしの職業の人やタクシードライバーなどに聞くと、「足が疲れるから」が理由として多い。「燃費向上のため」「今も教則本に書いてある」という話も聞くが、単にニュートラルにシフトしてサイドブレーキで停車を維持したほうが足を完全にフリーにできて気持ち良いから。そんな職業に就いていた経験のある筆者も実はそうだった。

 この「足が疲れる」という不満を解消するために、現代のクルマでは停車時にフットブレーキペダルから足を離してもブレーキを維持し続ける「オートブレーキホールド」機能がついているものも増えてきている。

●でも、下り坂も信号待ちもNレンジはNG!

 下り坂でNレンジを使うということは、下り坂でエンジンブレーキが使えないということ。となると減速はフットブレーキを使うことになり、フェードもしくはベーパーロック現象が起きる可能性が高まり、危険な状態に陥ることが容易に想像できる。

 また、信号待ちでのNレンジの使用は誤発進にもつながる。

 Nレンジに入れていることを忘れて発進時にアクセルオン→エンジン音のみで発進せず→慌ててDレンジに入れることで急発進! となるため。

 現代のクルマではこの「意図しない急発進」を防ぐための「急発進防止装置」なる安全装置を装備するものも増えてはいるが、他車を運転する可能性もあることや万が一の安全装置の故障を考えると、Nレンジにシフトするクセは直したほうがいい。Nレンジはレッカー時や緊急時のみの使用と考えたいもの。

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