搭載第1号は次期エルグランドか?
こうして次世代プロパイロットは、数秒先に起こりうる未来を予測し、「こうなったらこう」「ああなったこう」という膨大な引き出しを考慮しながら運転を行う。そのための学習パラメーターは従来のミリオンオーダー(数百万)からビリオンオーダー(十億)へと増えたそうだが、いわば教習所で教わる「かもしれない運転」を実践しているというわけだ。
しかもそのシステムはスタンドアロン。サーバーとの通信も高精度地図も必要とせず、実はLiDARさえも「バックアップ」で、高速走行時や真っ暗闇以外はフル稼働しないというからスゴイ。
そういうわけで、7km余りの都心ルートを次世代プロパイロットを積んだアリアはあっさりと走り切って東京プリンスホテルへ戻ってきた。「あっさり」という表現がこれほど褒め言葉になることも珍しい。街中をクルマ任せで走れる未来が、ついにやってきたのだ。
2027年度に市販車に搭載とのことだが、日産の資料にはその市販車がミニバンのシルエットで表されていた。どうみても新型エルグランドに見える。同車は2026年には発売されるはずだが、追って次世代プロパイロット対応モデルが投入されるのかもしれない。
ちなみに次世代プロパイロットは、BEVはもちろんハイブリッドやエンジン車にも搭載可能で、センサー類の構成は今後のニーズや法規制によって見直される可能性もあるとのこと。さらに運転するシーンに応じて「のんびり」「急ぐ」といった複数のモードも検討されているようだが(テスラのFSDには「ハリー(急ぐ)モード」がある)、もちろんその場合も安全は一切犠牲にしないというから心強い。
日産以外にもあなどれないライバルが……
自動運転については「運転の楽しみを奪う」という声もあるが、たとえばワインディングロードではステアリングを握り、そこまでの渋滞路はクルマ任せといった使い分けには意味があるはず。
それ以上に日本では、移動手段が限られる交通弱者が増えているから、次期型プロパイロットは、そういった人たちの救済にも道を開く技術といえるだろう。
いっぽう同種の技術についてはテスラがFSDの日本国内テストを始めており、グーグル傘下のウェイモも都内のデジタルマップのデータ取りを進めている。次期型プロパイロットが一般路での半自動運転の第1号となるかはまだ断言できないが、クルマ社会の未来にはっきり目鼻を描いたことだけは、間違いない。


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コメントの使い方親中政府の横やりが入って延期ってなことになりませんかね?