ケチるとかえって高額出費に! 寿命を縮める手抜きメンテナンスと放置リスク

ブレーキパッドを代えるのを伸ばしたばかりにローターを交換するハメに

ブレーキパッドは新品時約10mm、2~3mに摩耗したら交換。ブレーキパッドは車検や点検時と同時に交換するのが工賃が安くなるのでベスト
ブレーキパッドは新品時約10mm、2~3mに摩耗したら交換。ブレーキパッドは車検や点検時と同時に交換するのが工賃が安くなるのでベスト

 ブレーキ関連パーツはメンテナンスを怠れば命に関わるだけに重要なものです。ブレーキパッドおよびブレーキローターから異音が発生したらすぐに整備工場で修理していただきたい。

 とはいえ、普通の人はこのヤバい状況がわからない場合が多い。そこで、ブレーキ関連の異音はどんなものがあるのか紹介していきたい。

・キーキー音:金属(バックプレート等)がローターに当たり始めているサイン。パッドが摩耗限界に近づくほどこの音が出やすい
・ブレーキを踏んだ時の振動(ジャダー):ローターの歪み・厚みの偏り・熱膨張・ヒートクラックなどが原因で、制動時にペダルに振動が伝わる
・制動距離の変化・ブレーキの踏み心地が異なる:初期制動が弱くなったり、踏み込む感触が変わる

 パッドの厚みは、新品のブレーキパッドは約10mmの厚さがあり、これが2〜3mmまで摩耗すると交換時期で一般的に走行距離3万〜4万kmが目安といわれています。

ブレーキローターが破損してしまうと、1輪あたり1万4000~2万5000円はかかってしまう。さらに工賃も含めると大出費に……。つい放置しがちなブレーキの鳴きだが、早めの処置が必要だ
ブレーキローターが破損してしまうと、1輪あたり1万4000~2万5000円はかかってしまう。さらに工賃も含めると大出費に……。つい放置しがちなブレーキの鳴きだが、早めの処置が必要だ

 十分であればローターはある程度保護されますが、パッドが薄くなるとローター表面に摩耗や溝ができやすくなります。これを放っておくと以下のようになります。

・ローター表面に深い溝・刻印状の傷→研磨では回復できない状態となる
・ローターの厚みが規定値を下回る→使用限界となり、強度・熱変形耐性が落ちるため、安全性に関わる重大な問題
・熱を持ちやすくなりヒートクラックなどの損傷が起きやすくなる。

 では最後にブレーキパッド、ローターの費用目安を紹介しておこう。ブレーキパッド交換費用は、国産車であれば前輪1セット(左右)で、部品代+工賃で 数千円〜2万円前後が一般的。

 当然、車種・パッドの材質(ノーマル・セミメタル・セラミック等)で価格差はありますので、前もって愛車の部品代+工賃は頭に入れておきましょう。

 一方、ブレーキローター交換費用の目安は、1輪(片側)でのローター部品代が 約1万円〜2万円、工賃が約4000円〜5000円程度。合計で1万4000円〜2万5000円/1輪 というケース。 フロント一式・左右両輪での交換なら 約2万8000円~5万円、4輪交換すると 5万円~10万円。程度の範囲になることも。

ブレーキを掛けた時にステアリングが揺すられる、クルマに振動が伝わってくる場合、ディスクブレーキのローターが偏摩耗している可能性が高い
ブレーキを掛けた時にステアリングが揺すられる、クルマに振動が伝わってくる場合、ディスクブレーキのローターが偏摩耗している可能性が高い

今すぐ実践!ケチでもコスパ高く・寿命を伸ばす賢いメンテ法

ブレーキからキーキーと音がしたらすぐにパッドを交換したい(LIGHTFIELD STUDIOS@Adobe Stock)
ブレーキからキーキーと音がしたらすぐにパッドを交換したい(LIGHTFIELD STUDIOS@Adobe Stock)

 読者の皆さんが“ケチ”したくなる気持ちは理解できます。でも、メンテを適切にやれば、出費を抑えつつ寿命を延ばし、安全で快適なカーライフを維持できます。

 メンテナンススケジュールを定着させましょう半年毎のオイル交換サイクルを手帳・スマホ・車検時の整備記録に仕組み化。バッテリー交換時期(おおよそ2〜3年)をカレンダーにマーク。ウェブリマインダーに設定しておくのも有効です。

1:コスパを意識して部品・作業先を選ぶ
・オイルは全合成油が高いが寿命が長く、燃費改善の効果があるものも。用途に応じて選択
・パッド・ローターも信頼性のあるメーカーを選び、ノーブランドは避ける。初期は高くても長く使えれば割安になる
・バッテリーは“容量・始動性能・耐寒性”を見て選ぶ。アイドリングストップ対応車なら専用バッテリーを選ぶこと

2:定期点検を怠らない
・オイルフィルターの目詰まりや汚れは、目視でできる簡易チェックを月1程度で
・バッテリーの端子・ターミナルの腐食、液式種類なら液量確認
・ブレーキパッドの残量を見たり、ローターの状態(溝・滑り具合・変色など)をサービス工場で点検

ドラムブレーキは、ブレーキライニング(摩擦材)を張ったブレーキシューを車輪とともに回転するブレーキドラム(回転体)の内側にピストン(押しつけ機構)で押しつけることによって、ブレーキドラムの回転を止め、クルマを減速、停止
ドラムブレーキは、ブレーキライニング(摩擦材)を張ったブレーキシューを車輪とともに回転するブレーキドラム(回転体)の内側にピストン(押しつけ機構)で押しつけることによって、ブレーキドラムの回転を止め、クルマを減速、停止

3:異常の予兆に敏感になる
・始動時・ライト点灯時・制動時など、“いつもと違う”音・感触に注意。キーキー音・振動・遅れなどはサイン
・放置する前に相談できる整備店を一つ常に見つけておく。見積もりを取る習慣をつける

4:キャンペーン・会員特典を使う
・オートバックスなどでは「メンテナンスオプション」「会員制度」でオイル交換・フィルター交換の工賃割引や無料特典がある。カー用品店・ディーラー・整備工場でのセール情報をチェック。ネット通販で良質なバッテリーを買って、作業だけを依頼するパターンもコスト削減に有効。

総まとめ:先延ばしは「見せかけの節約」でしかない

メンテナンスはディーラー任せにせずに自らチェックは行いたいものだ(Wasan@Adobe Stock)
メンテナンスはディーラー任せにせずに自らチェックは行いたいものだ(Wasan@Adobe Stock)

 この記事で挙げた3大メンテ(エンジンオイル+フィルター、バッテリー、ブレーキパッド/ローター)は、クルマの寿命・安全性・維持コストに直結するものです。「ちょっと待てば」「まだ大丈夫だろう」と思って放置するたびに、壊れる可能性・修理コスト・安全リスクが積み重なっていきます。

・ケチって得するのは“初期費用だけ”
・放置のツケは時間と共に重くなる
・適切なタイミングでの予防メンテナンスが、結果的に“最も節約できる”選択肢

 あなたのクルマが今どのくらい“手抜きメンテ”状態か、まずはチェック項目をひとつずつ確認してみてください。それだけで泣きを見るような出費を未然に防げる可能性が高まります。

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