クルマの維持管理の基本中の基本といえる「エンジンオイルの交換」。かつては5,000kmごとが交換の目安とされていましたが、現在JAFや国内自動車メーカー各社が推奨している交換の目安は、一般的なガソリン車で「15,000kmまたは1年ごと」と、以前よりもかなり交換サイクルが延びています。
そのためか、なかには「車検ごと(2年ごと)にしか交換していない」という人もいるようですが、どのような使い方であっても「車検ごと」では遅すぎます。オイル交換の最新事情を整理してみましょう。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_Studio V-Zwoelf/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】オイル交換「車検ごと」でいいの? もちろんダメ!! 最新車種でも重要な交換サイクル(9枚)画像ギャラリーオイル交換は走行距離が短くても必要!!
JAFが推奨しているオイル交換の目安は、通常の使用の場合で、一般的なガソリン車は15,000kmまたは1年ごと。軽自動車やターボ車などの過給器付きエンジンでは、高回転・高負荷になりやすいことから、一般的なガソリン車よりも早い10,000kmまたは半年とされています。
軽自動車のなかでも、ターボエンジン車では、これよりもさらに早い5000kmまたは半年が推奨されており、オイルが汚れやすいディーゼル車の場合も、10,000kmまたは1年が推奨されています。
エンジンオイルは、使用状況によっても汚れ具合が異なるため、走行距離が極端に多かったり、悪路・山道走行が多いなどのシビアコンディションで使用されているクルマでは、これらの半分のサイクルが推奨されています。また、エンジンオイルは、エンジンが十分に温まらないまま始動や停止を繰り返すことでも汚れやすいので、走行距離が短かったり、低速走行が多い場合も、JAFは前述のシビアコンディションでの交換サイクルを推奨しています。
エンジンオイルなどのカー用品を取り扱っている株式会社CAPが、2025年8月に実施した調査(自動車または二輪車を保有している20代~70代の男女、1,025人を対象とした調査)によると、オイル交換の頻度は「半年以内に1回程度(38.3%)」がもっとも多く、次いで「年1回程度(26.3%)」と、年1回以上オイル交換をしているユーザーは全体の6割以上を占めており、多くの人がメンテナンス周期を守っているようです。
一方で「特に決まっていない」と回答したユーザーも21.7%にのぼり、約2割のユーザーが交換目安を意識していないことが判明。「車検時にしか交換していない」という人もこの中に含まれている可能性はあると思われます。

最新車種でもハイブリッド車でも交換サイクルを守ることは重要!!
エンジンオイルには、エンジン内部の部品同士の摩擦を減らす潤滑の役目や圧縮や燃焼を助ける密封の役目、防錆や冷却、汚れの除去という5つの役割があります。
しかしながら、エンジンが稼働することで、エンジンオイルは、金属粉や燃えカス、水分が混入したり、オイルの粘度が低下してくなどで、少しずつ劣化していきます。こうして劣化したエンジンオイルは、5つの役割を十分にはたせなくなっていき、潤滑や防錆が不十分になることで部品にダメージが蓄積されるほか、密封や冷却が不十分になることでオーバーヒートが起きたり、汚れの除去が不十分になることでエンジン内部に汚れ(スラッジ)が蓄積して燃費が悪化するなど、エンジンに深刻なダメージを及ぼします。
これは最新のガソリンエンジン車でも、ハイブリッド車でも同様です。ホンダによると、フィットやフリード、ステップワゴンのエンジンオイルの交換時期は、ガソリン車もe:HEV(ハイブリッド車)も「15000kmまたは12ヵ月の早い時点」(シビアコンディションは7500kmまたは6カ月ごと)。最新車種でも交換サイクルを守ることは重要なのです。










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