日本の自動車メーカーのなかでも、独創的な発想でクルマを開発してきた「スズキ」。なかには「ツイン」や「X-90」など、独特かつ特異なモデルもありましたが、純粋なFRオープンスポーツカーとして誕生した「カプチーノ」は、この常識にとらわれない発想をもつスズキだからこそ実現できたモデルでした。日本クルマ界の至宝、スズキ「カプチーノ」について振り返りましょう。
文:吉川賢一/写真:SUZUKI、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】スズキだからこそ「カプチーノ」は誕生した 独創的な発想でクルマを開発するスズキの売れ筋モデル(35枚)画像ギャラリー146万円で実現した「本格FR軽スポーツ」の衝撃デビュー
「思いのままに操縦する楽しさを追求する」をコンセプトに掲げ、1991年10月にデビューした2座の軽オープンスポーツ「カプチーノ」。その価格はなんと約146万円。軽自動車でも上級グレードとなると300万円に到達してしまう令和の時代からみれば考えられない価格設定ですが、当時としても驚異の低価格でした。
全長3,295mm×全幅1,395mm×全高1,185mm、ホイールベース2,060mmというコンパクトなボディは、現在唯一市販されている軽スポーツであるダイハツ「コペン」(全長3395mm×全幅1475mm×全高1280mm、ホイールベース2,230mm)よりもさらに小さなサイズ。
この小さなボディに、フロントエンジン×後輪駆動という、本格的なスポーツモデルらしいパッケージングを詰め込んで登場したカプチーノは、後輪駆動車らしいロングノーズ&ショートデッキフォルムをもち、当時の量産車では珍しい4通り(ハードトップ、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープン)のルーフから選択ができたのが特徴。
ボディの軽量化にも徹底して取り組まれており、ルーフやボンネット、リアピラー、リアフェンダーの一部にはアルミニウムを使用したほか、ホイールや駆動系にもアルミニウム素材を採用。その結果、車両重量はわずか700kgという驚異的な軽さを実現していました。
アルトワークス譲りのF6Aターボを縦置き搭載!本気のスポーツメカニズム
搭載されたエンジンは、最高出力64PS/6,500rpmを発生する657cc直列3気筒DOHC 12バルブインタークーラーターボ(F6A型)。これは当時のスズキの人気スポーツモデル「アルトワークス」にも用いられたユニットですが、カプチーノには後輪駆動用に縦置きレイアウトに変更し、搭載されました。
組み合わせられたのは5速MTで、サスペンションには、前後ともカプチーノ専用のダブルウィッシュボーン式サスペンションを投入。さらには四輪ディスクブレーキまで採用する、という本気ぶりで、軽量ボディとの相乗効果で、軽快かつキレのあるハンドリングを実現していました。
ここからさらに、1995年5月のマイナーチェンジで、エンジンブロックを鋳鉄製から軽量なアルミニウム製へとチェンジ(前期型のエンジンはEA11R、後期型はEA21R)。10kgの軽量化とともに、エンジントルクも7.5kgfmから10.5kgfmへと向上させることに成功しました。このマイナーチェンジでは3速AT仕様も用意されており、幅広いユーザーに応える懐の深さもみせてくれました。







































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