軽自動車が乗り出し300万円!? なぜクルマはここまで高くなったのか…納得するしかない理由と事情

軽自動車が乗り出し300万円!? なぜクルマはここまで高くなったのか…納得するしかない理由と事情

 日本で一番売れているクルマであるホンダの「N-BOX」。軽自動車ながら、売れ筋のN-BOXカスタムの車両本体価格は税込192万円と200万円に迫る価格であり、上級グレードであるターボ車のコーディネートスタイル(2トーン)にもなると、FFで税込234万円、4WDともなると税込247万円。希望するオプションを追加してしまうと、諸費用込みで300万円超もみえてくる価格帯となります。

 世界情勢の変化やコロナ禍による供給網の混乱、2022年以降の急激な円安による物価高の影響などによって、価格が高くなっているのはクルマに限ったことではありませんが、それを差し引いたとしても、クルマの価格は異常な高騰ぶり。なぜクルマはここまで高くなってしまったのか。クルマの値段が高くなった理由と事情を考えてみましょう。

文:yuko/アイキャッチ画像:Adobe Stock_masamasa3/写真:HONDA、TOYOTA、Adobe Stock

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20~30年前と比較して、倍以上の価格に

 「最近のクルマはほんと高くなったよなぁ」と感じている人は少なくないでしょう。トヨタの「カローラ」を例に考えてみると、いまから60年前の1966年に誕生した初代カローラはなんと43万2000円(セダン2ドア)でした。しかしながら、1973年の第一次オイルショックによる急激な物価高騰によって、1979年登場の4代目は71万円(セダン2ドア)~と大きく上昇。その後は落ち着き、1987年登場の6代目は88万円(セダン4ドア)~、1991年登場の7代目は税抜89万8000円(セダン4ドア)〜と、2000年登場の9代目は税抜112万円と、ここで100万円の大台を超えます。

 その後も上昇は続き、2006年登場の10代目は税込140万円(セダン4ドア)。2012年登場の11代目カローラアクシオは税込137万円と、いったん上昇が収まりますが、2019年登場の12代目(現行モデル)は税込193万円(セダン4ドア)と大きく上昇。2025年5月にハイブリッド車に一本化したため最低価格は税込226万円~へと上昇しています。

 2006年の10代目からは税込価格(当時の税率は5%)となっている点も考慮しなければなりませんが、それでも2000年以降の値上がりは、異常なもの。もちろん、これはカローラに限ったことではなく、ほぼすべての乗用車の価格が上昇しています。

12代目にあたるトヨタ「カローラ」の現行モデル。グローバル共通プラットフォームの採用によりスポーティなデザインながら、日本専用ボディの採用によって取り回しのよさも追求されている。2025年9月時点の価格は税込227万円だ
12代目にあたるトヨタ「カローラ」の現行モデル。グローバル共通プラットフォームの採用によりスポーティなデザインながら、日本専用ボディの採用によって取り回しのよさも追求されている。2025年9月時点の価格は税込227万円だ
1995年に登場した8代目カローラ。発売当時の価格は91万円だった
1995年に登場した8代目カローラ。発売当時の価格は91万円だった

物価高に加えて、安全装備の拡充が主な原因

 クルマの価格がここまで高騰してしまった原因のひとつは、やはりここ数年の物価高でしょう。昨今は、コロナ禍からの需要回復や世界情勢の変化などによって、世界的に物価の上昇が進んでいます。総務省がまとめている消費者物価指数(物価の変動を測定する指標)によると、2020年を100としたとき、2025年8月の全国の総合指数は112.1と約12%も上昇しています。

 自動車産業としても、コロナ禍による供給網の混乱に加えて、原油高による輸送費の高騰、鋼材やアルミ材、樹脂などの材料や半導体などの部品価格や人件費も高騰。日本国内では、2022年ごろからの急激な円安も追い打ちをかけました。

 ただ、これだけクルマが高くなった最大の要因は、安全装備の拡充が大きく影響しています。2020年にはオートライト(すれ違い用前照灯(ロービーム等)の自動点灯機能)が、そして2021年には衝突被害軽減ブレーキ(衝突被害軽減制動制御装置)が、2022年にはバックカメラ(などの後退時車両直後確認装置)が、それぞれ義務化となりました。義務化によって、クルマの価格に開発や搭載コストが上乗せされ、販売価格が押し上げられているのです。

 また、国土交通省とNASVA(独立行政法人自動車事故対策機構)が実施しているJNCAP(自動車アセスメント)も大きく影響していると思われます。JNCAP(Japan New Car Assessment Program)とは、新型車の安全性能を国交省とNASVAが評価・公表しているもの。星の数でランク付けされ、最高評価(5つ星)には「ファイブスター大賞」が授与されます。

 このJNCAPの予防安全性能の評価項目が年々強化されており、特に予防安全性能に関しては、各項目で一定レベル以上の評価を受けなければ最高評価を受けることができず、総合高評価を狙うには、安全装備を広範囲で底上げする必要があるなど、メーカーとしては法律で義務化されていない装備に関しても、装備をせざるを得ない状況。

 また、パワーシートやシートヒーター、大型ディスプレイナビに全方位カメラ、さらにはコネクテッド機能など、これまで高級車向けだった快適性を高める装備が、軽や一般的な乗用車にも搭載されるようになったことも、クルマの価格を押し上げている一因です。前述したカローラに至っては、ガソリングレードを廃止し、ハイブリッド車に一本化するなど、時代の需要に合わせた変化も大きく影響しています。

クルマの価格がここまで高騰してしまった原因は、ここ数年の物価高騰に加えて、安全装備の拡充が影響している(PHOTO:Adobe Stock_tatsushi)
クルマの価格がここまで高騰してしまった原因は、ここ数年の物価高騰に加えて、安全装備の拡充が影響している(PHOTO:Adobe Stock_tatsushi)

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