R34スカイラインGT-R誕生物語 伝説の名車を「伝説」にした「神の声」とは

解析以上のセンサーを持つテストドライバーの感覚

 「あのコーナーを走ると、車体がくの字に曲がる印象がある。この部材の剛性が弱いから、板厚をあと0.2ミリ厚くしてくれ」

 ――GT-R開発に限ったことではないが、テストドライバーの方の感覚は凄まじい。鉄でできている車体が実際に曲がる量なんて、1ミリ以下の世界。

 でもこれでハンドリングはガラッと変わる。まさに「神の声」なのだ。

 R34スカイラインのセダンに乗ったことがある方ならば体感されたであろうが、このクルマは、当時のクルマの中では「安心感」が抜群に高い。

 うねりのあるコーナーをハイスピードで抜けても、車体はミシリとも言わず、サスペンションの動きが手に取るように伝わる。それは、車体剛性の高さからきていることは間違いない。

テストドライバーたちの「神の声」があったからこそ出来た
テストドライバーたちの「神の声」があったからこそ出来た

 当時、満足な解析技術もない中で、これほどの車体を作り上げることができたのは、実験部にいた数々のテストドライバーの方たちの「神の声」を設計部隊がしっかりと受け止め、クルマに反映していったからに他ならない。

 「R34のフロアの車体剛性が高いのは俺のおかげだよ。」というのが、ハンドリング性能の実験を担当した、某テストドライバーさんの自慢話だった。

国内のR34 GT-Rは絶滅に向かっている

 アメリカでは「25年以上経過したクルマであれば、右ハンドルでもそのまま走っていい」とされており、この条件をクリアする90年代初期のジャパニーズスポーツカーが、徐々に国内から姿を消している。

 R34 スカイラインGT-Rも1999年から2002年であり、あと数年のうちにこの条件をクリアする。良質の車両を確保する動きがあるため、すでに高額になっているという。

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 世界中でGT-Rが認められることは嬉しいものだが、買い占めに近い状況になっているのは、どうにも悲しい。

 R34 スカイラインGT-Rを所有したい方は、早期に探すことをお薦めする。20年以上昔の古臭いGT-Rだが、これほど味のあるジャパニーズスポーツカーは、もはや誕生することはないのだから。

【画像ギャラリー】R32スカイラインGT-Rから、現行型GT-Rをみる。

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