なぜ新型CX-5にディーゼルエンジンは搭載されないのか? 各メーカーからディーゼルが消えた理由

なぜ新型CX-5にディーゼルエンジンは搭載されないのか? 各メーカーからディーゼルが消えた理由

 2025年7月10日に発表された新型CX-5に、ディーゼルエンジンのラインナップがないことが明らかになった。CX-5が大ヒットした理由として、ディーゼルエンジンの存在が大きかったのは確か。なぜディーゼルエンジンの搭載が見送られたのか、解説していきたい。

文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部、マツダ

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マツダはなぜCX-5にディーゼルエンジンを積まないのか?

2025年7月、ヨーロッパで先行公開された新型マツダ CX-5
2025年7月、ヨーロッパで先行公開された新型マツダ CX-5

 マツダは、新型CX-5を2025年7月10日、「欧州では2025年末、その他の地域は2026年中に発売する」と明らかにした。

 発表された新型CX-5のパワートレーンを見ると、2.5L直噴ガソリンエンジンにマツダのマイルドハイブリッドシステム「Mハイブリッド」で、2027年中に、マツダ独自の新ハイブリッドシステムと組み合わせて「SKYACTIV-Z」が投入する予定と書かれていた。

 つまり、これまで屋台骨だったディーゼルエンジンが新型CX-5には用意されないのである。

 CX-5はマツダのミドルサイズSUVで、現行型の登場は2016年の末であった(納車の開始は2017年初頭)。発売から9年近くを経過したからフルモデルチェンジを受けるが、2025年1~9月の販売データを見ると、国内におけるマツダの最多販売車種は相変わらずCX-5だ。本来、大量に売られるべきは安価なコンパクトカーのマツダ2だが、実際にはCX-5が多く販売されている。

2017年2月に登場した現行2代目CX-5。ボディサイズは全長4575×全幅1845×全高1690mm
2017年2月に登場した現行2代目CX-5。ボディサイズは全長4575×全幅1845×全高1690mm

 CX-5が好調な理由として挙げられるのが、直列4気筒2.2Lクリーンディーゼルターボの搭載だ。日本国内におけるCX-5の販売状況を見ると、ディーゼルが約半数を占める。以前は60%に達した時期もある。

 ディーゼルが人気を得た理由は、効率が優れているからだ。最高出力は200ps/4000rpm、最大トルクは45.9kgm/2000rpmで最大トルクは4Lのガソリンエンジンに相当する。

 CX-5の直列4気筒2.5Lガソリンエンジンエンジンのデータ(2WD)は、最高出力が190ps/6000rpm、最大トルクは25.7kgm/4000rpmだ。最高出力は両エンジンともに同程度だが、最大トルクはディーゼルがガソリンの1.8倍に達する。

 しかもディーゼルエンジンは、WLTCモード燃費も優れている。ディーゼルを搭載するXD・2WDは17.4km/Lだ。2.5Lガソリンエンジンの13.8km/Lよりも3.6km/Lも燃費がいい。

 さらにディーゼルが使う軽油の価格は、レギュラーガソリンに比べて1L当たり約20円安い(正確には価格に含まれる税額が安い)。そのためにディーゼルの燃料代はハイブリッドに近い。CX-5のディーゼルは、2.5Lのガソリンに比べて、燃費数値上は燃料代を30%削減できる。

現行CX-5に搭載されている2.2L、直4ディーゼルは搭載されないことになった。200ps/45.9kgmを発生。2WDのWLTCモード燃費は17.4km/L
現行CX-5に搭載されている2.2L、直4ディーゼルは搭載されないことになった。200ps/45.9kgmを発生。2WDのWLTCモード燃費は17.4km/L

 このようにディーゼルの最大トルクはガソリンの1.8倍に達して、燃料代は30%安い。優れた効率でディーゼルは人気を得た。

 そしてCX-5のようなSUVは、同サイズのセダンやワゴンに比べてボディが重い。実用回転域で高い駆動力(最大トルク)を発生するディーゼルエンジンの特性はSUVに適する。しかもCX-5は運転の楽しさを重視するマツダ車だから、加速力が強いディーゼルの特性は、メーカーや車種のコンセプトにも合っている。その結果、CX-5ではディーゼルの販売比率が50~60%に達した。

次ページは : 2.2Lディーゼルエンジンをなぜ廃止するのか?

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