なぜ新型CX-5にディーゼルエンジンは搭載されないのか? 各メーカーからディーゼルが消えた理由

2.2Lディーゼルエンジンをなぜ廃止するのか?

新型CX-5に搭載されるe-SKYACTIV G 2.5(M ハイブリッド付き)
新型CX-5に搭載されるe-SKYACTIV G 2.5(M ハイブリッド付き)

 価格も影響を与えている。現行型のブラックセレクション同士で、2WDの2Lガソリンエンジンと2.2Lディーゼルを比べると、後者の価格アップは31万9000円だ。ハイブリッドの大半がノーマルガソリンエンジンに比べて35万~60万円高いことを考えると、動力性能が高く低燃費のディーゼルが、約32万円の上乗せで得られるなら買い得といえる。

 ところが次期CX-5は、冒頭で述べた通り、この魅力的なディーゼルを廃止する。その理由をマツダの関係者に尋ねると以下のように返答された。「ディーゼルを廃止する直接の理由は、排出ガス規制だ。欧州のユーロ7は、基準値がかなり厳しく、ディーゼルエンジンでクリアするのは難しい。そこでガソリンハイブリッドが主力になる」。

 それならディーゼルは全面的に廃止するのか、と聞いてみた。

 「全面廃止ではありません。CX-60やCX-80が搭載する直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボは今後も存続します。ただし前輪駆動のCX-5に、後輪駆動用の直列6気筒ディーゼルを積むことは不可能です。そこでCX-5はディーゼルを廃止することにしました」。

 では直列4気筒2.2Lディーゼルは、排出ガス規制への対応が不可能なのだろうか?

 「技術的には可能ですが、開発コストとのバランスや生産台数もありますので、今後のディーゼルは、CX-60やCX-80の直列6気筒に統合することにしました」。

 前述の通り、国内市場ではCX-5のディーゼル比率が50~60%に達するが、世界販売台数で捉えると少数だ。従来型CX-5の販売台数が最も多い市場は北米で、販売総数の70%を占める。そして北米向けCX-5のエンジンはガソリンだ。

包み込まれるようなデザインが特徴の新型CX-5のインテリア。センターディスプレイは10.25インチから15.6インチへと大型化
包み込まれるようなデザインが特徴の新型CX-5のインテリア。センターディスプレイは10.25インチから15.6インチへと大型化

 一方、CX-5の世界販売台数に占める国内比率は約10%だ。ディーゼルはその半数だから、世界販売台数に占めるディーゼル比率は大幅に減る。そこで次期CX-5は、2026年に登場する直列4気筒2.5Lマイルドハイブリッドと、2027年に追加される新開発の2.5Lストロングハイブリッドのみを搭載することになった。

 ほかのメーカーも、以前はディーゼルエンジンを豊富にそろえていた。例えばディーゼルとは無縁に思えるスバルも、2008年に水平対向4気筒2Lディーゼルターボを開発して、欧州向けのレガシィアウトバックに搭載した。ホンダもかつてはディーゼルを手掛け、アコード2.2i-CTDiなどを用意していた。いずれも欧州向けで、排出ガス規制の強化によって今では廃止されている。

 結局のところ、現時点で国内販売されているディーゼルを搭載した国産乗用車は、トヨタならランドクルーザー70/250/300、三菱はデリカD:5になる。

今後、マツダ車のディーゼルはどんどん減っていく?

マツダ CX-60(XDハイブリッド・直6・3.3Lディーゼルターボ+マイルドハイブリッド)。最高出力254ps/3750rpm、最大トルク56.1kgm/1500-2400rpm。パワー&トルクは控え目だが、21.1km/L(WLTC)と燃費のよさはこのクラスで圧倒的
マツダ CX-60(XDハイブリッド・直6・3.3Lディーゼルターボ+マイルドハイブリッド)。最高出力254ps/3750rpm、最大トルク56.1kgm/1500-2400rpm。パワー&トルクは控え目だが、21.1km/L(WLTC)と燃費のよさはこのクラスで圧倒的

 マツダにはディーゼル搭載車種が多く、マツダ3、CX-3、CX-30、CX-5、CX-60、CX-80とそろえる。しかし先に触れた通り、これから直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボ以外は廃止する方針だ。そうなるとマツダ3やCX-30などにも搭載されなくなるかもしれない。

 ディーゼルエンジンというパワーユニットを消滅させるのは惜しい。前述の通り、実用回転域の駆動力が高く燃料消費量は少ないから、効率が優れているのに実にもったいないではないか。

 例えば常に最大トルクを発生させる2000回転で回しながら発電機を作動させ、モーターを駆動して走る。過剰な発電を行った時は、十分な容量を備えた駆動用電池に充電すれば、エンジンを停止させて走る距離を伸ばす制御も可能になる。ディーゼル車は減っているが、利用価値の高い高効率なパワーユニットであることに変わりはない。

 マツダの販売店は、CX-5のディーゼルを廃止することについて、

 「CX-5のお客様には、マツダのディーゼルに魅力を感じている方も多いです。新型CX-5がディーゼルを廃止するなら、その代わりになるウリが必要です。2025年10月中旬時点で、現行CX-5のディーゼルは購入可能です。ディーゼルが欲しいお客様は早めに契約したほうがいいでしょう。クリーンディーゼル=マツダが定着しているのに残念です」とコメント。

【画像ギャラリー】新型CX-5欧州仕様の写真をズームして見て!(6枚)画像ギャラリー

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