【速くても遅くてもダメ!?】レーサーが教える本当に上手い運転とNGな走り方

 あおり運転やあおられ運転などが注目されるようになり、運転のマナーや運転の仕方について考えさせることが多くなった昨今。

 スマートに、そして安全に。クルマの運転が上手いととてもカッコいい! でも、アナタはちゃんと上手な運転ができていますか? という前に、そもそも上手い運転とは何なのか? と思う人もいるだろう。

 今回は、公道を走る時の上手い運転のポイントを、レーシングドライバーでモータージャーナリストの松田秀士が伝授する!

※本稿は2020年2月のものです
文:松田秀士/写真:ベストカー編集部/撮影:茂呂幸正
初出:『ベストカー』 2020年3月26日号

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■一般道での上手い運転とは?

 一般道での上手な運転とはどんな運転だろうか?

 ボクが考えるのは常に自車の周囲の状況を確認していること。これは自動車レースでもとても重要なこと。前方視認も重要だが、特に大切なのはサイドと後方の確認。後方から来る車両が自車を追い越そうとしていないか? 少しでもそのような動きを読み取ったら、その行為を邪魔するような動きはしない。例えば後方の車両が追い越そうと迫ってきた時にブレーキを踏んだり、アクセルオフによる急な減速は、前車が急な減速をしないかぎりしてはいけない。

 そして車線内の中央を走ること。バイクはクルマとクルマの間を縫うように追い越していくので、車線のどちらかに寄っていると隙間の大きいほうから追い越していくことになる。そしてバイクは動きが早いので気づかずにいると、不意に中央に寄せた時に接触する可能性が出てくる。

一般道でも高速道でも、運転は常に自車の周囲の状況を確認しながら走ることが大切

 交差点で右折する時は対向車にブレーキを踏ませないようにしっかりタイミングを見計ることが重要。さらに、右折した先に歩行者や自転車が横断しないことをしっかり確認しておく。対向車だけに気をとられていると、右折した先の状況を見過ごしがちになるのだ。

 逆に左折時には必ず左のドアミラーで後方およびサイドを確認する。これはバイクや自転車が直近にいて巻き込むケースがあるからだ。特に左折時に横断歩道を渡る歩行者に気を取られているといつの間にか自転車が割り込んできている可能性がある。また歩道の後方から走ってくる自転車にも注意したい。

 右折専用レーンのない交差点で右折する時は、可能な範囲で右側に寄せて後続車の走行の邪魔にならないような気遣いがほしい。かといって右に寄せ過ぎて対向車の脅威になるようでは危険。よくあるのが車線左寄りから右折を開始して、斜めになるような形で後続車を止めてしまうパターン。特に右折は30mくらい手前から早めに方向指示器で後続車に知らせ、他車に迷惑をかけないようにしたい。

 前方に右折車がいて進路をふさがれている場合は、早めに速度を落として方向指示器を出し、左車線に移動しよう。難しい場合は躊躇なく停車して右折するのを待つ。

交差点の右折は対向車にブレーキを踏ませないようにし、歩行者や自転車などにも気をつける

 また、一般道での右カーブはやや左側を走る。ここでも基本道路の真ん中を走るのがセオリーだが、右カーブでは若干左側に寄せて走る。これは対向車がセンターラインを割ってはみ出してくる可能性があるからだ。ただし左に寄せる時には自転車やバイクがいないか必ず確認することが大切。では左カーブはというと、右に寄りすぎず基本車線の真ん中を走ろう。

 車線変更する時には、遅くとも3秒前には方向指示器を出して変更方向を後続車に伝えよう。変更方向に他車がいる時は追い越して割り込むのではなく、減速してその後ろに入るように心がけたい。そのためにも方向指示器による早めの意思表示が重要だ。そして急な進路変更は行わずゆっくりと車線を変更すること。変更中に他車やバイクが割り込むこともあるからだ。

 信号待ちなどで減速する時は、いきなりブレーキを踏むのではなくアクセルを戻して惰性で減速。その後ブレーキの踏み始めは軽めの減速を行い徐々に踏力を強くして停止する。ハイブリッド車などは減速時の回生エネルギーをしっかりと貯めるためにも、惰性および軽めのブレーキでの距離を長めに減速。ただし、あまりに長い減速は後続車に不快感を与えるのでほどほどにすること。

 急発進しないのは当然だが、AT車の発進は動き始めの1mくらいはクリープに少しアクセルを足すくらいでいい。しかしその後は遅すぎないレベルで加速しよう。よくエコドライブで40km/hくらいまでとてもゆっくり加速するドライバーを見かけるけれど、後続車にとって迷惑だし渋滞を招くもとになる。後続車がいない時は構わないがいる時はそのような運転は控えよう。

 狭い道路から大きな道路に出る時、最初に確認するのは右方向から。日本は左側通行なので、まず右からクルマが走ってくることを頭に入れておこう。

 交差点内は追い越し禁止。よく大きな交差点の左折中に、歩行者の流れのタイミングから後続車のほうが追い越して先に左折していくシーンを目にするが、これは違反行為なので絶対にしない。

 また前方の信号が赤から青に変わるタイミングに合わせて速度調整し、停止せずに交差点を通過するようなケースでは、信号無視して走ってくる自転車や歩行者もいるので、注意すること。

◎一般道での運転は常に先読みが重要。そして交通の流れを乱さないようにする

■ドライビングポジションも大切!

 ドライビングポジション(以下 ドラポジ)の決め方は、まず最初にブレーキを踏み込み、シートスライドで膝の角度が110〜130度ぐらいになるように合わせる。ブレーキの踏み方は、かかとをブレーキとアクセルの間くらいに置き、かかとを支点にして左右に振って踏み分ける。この癖をつけることで高齢車になっても踏み違えを予防できる。

 なお、マツダ車はオルガン式のアクセルペダルにしていて、踏み違えにくい。それに、ドラポジにこだわってセットしていることも特徴だ。

 次に背もたれに背中、肩を付けた状態からステアリングの上部に両手を真っ直ぐに伸ばす。この時グーを握った手首がステアリングの上にくるように調整する。体の小さい人はドアミラーの位置が近すぎて視界から外れることのないようにテレスコピック&チルトを調整しよう。

 ステアリングが遠すぎるのも問題だが、近くてドアミラーの視認性が悪いポジションになる場合は、多少遠くなっても見える距離に合わせることを優先したい。

ステアリングの上を握った腕が伸び切らない距離がいい
ブレーキとアクセル、両方のペダルの間を支点に踏む

■駐車時に上手く運転するには?

 駐車場での車庫入れが苦手な人、多いですよね。ここでも周囲がしっかりと見えていることが大切。そのため駐車場に入ったらシートリフターを上げて視線を高くしよう。

 最近はリアビューモニターや車両位置を俯瞰でモニターに映し出してくれる便利機能もあり、もちろんこれらに頼るのもいいが、小さな子どもなどは死角に入りやすいのでミラーや目視での確認も必要。

リアビューモニターは真後ろを確認できるが、死角になる両サイドは目視やミラーで確認

 そのため運転席と反対側のドアミラーはやや下向きに調整する。こうすることで助手席側のクリアランスを正確につかみ取れる。それと、運転席側の窓を開け顔を出して後方を確認しながらバックする。この時はステアリングの真上を片手で持ち、細かな修正を加えるようにする。

 また後進時は基本的にクリープ状態でブレーキを調整しながらゆっくり動かす。アクセルを踏み込んで後進速度を上げないように。後方視界は前方よりも極端に悪いので、異変に気づきにくいのだ。そのためにもクリープ後進を心がけたい。

■高速道路での上手い運転とは?

 高速道路でも一般道と同じように周囲の状況をしっかりと認識しておくことが重要なのは言うまでもない。

 そのためにドアミラーは一般道の時よりもやや外向けにして、斜め後方から追い越される車両に気づきやすいようにする。ルームミラーでも視認できる後側方のクルマもあるが、見落としてしまっている時のためにもドアミラーで確認しやすいようにする。とにかく斜め後方にクルマがいないことを確信してから車線変更を行うこと。

 車線変更は、高速道路でも一般道と同様に3秒以上前から方向指示器を出して後続車に知らせておこう。

 それにこれも一般道と同じになるが、交通の流れに乗って車線内の真ん中を走ることが基本。最近ではACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)やレーンキープアシストなどの運転支援機能を装備したクルマもあるので、搭載車はこれらの機能は活用したい。そのほうが疲労を抑えることができ、安全に移動することができるからだ。

 そして、いつまでも追い越し車線を走らないこと。これは違反だ。キープレフトで、追い越しが終わったら速やかに走行レーンに戻ろう。3車線以上ある道路の場合、それぞれのレーンの速度に合わせて走ること。そして交通の流れを乱さないよう全体の速度に溶け込むように調整することが重要だ。

 それに前車との車間距離を詰めすぎない。ただ、これは当たり前だね。

左寄りになったり右寄りになったりせず、車線の真ん中を走る。基本的なことだが、安全のため大切だ

 また、雨天時は必ずライトを点灯し、速度に気をつけて肩に力が入りすぎないようにステアリングを持つ。力が入るとスムーズなステアリング操作ができなくなるためだ。

 さらに、雨量が多い時はトラックのほうがスピードを出しやすいということを知っておきたい。トラックは重量があるので雨天時には軽い乗用車よりもタイヤがグリップするのだ。だから速く走るトラックもあるが、そういったトラックに追い越されたからといって焦ってはいけない。

 最近のクルマはデイタイムランニングライトが付いているクルマが増えたが、付いていないクルマの場合はライトを点灯することをお薦めする。昼間や晴天時でも自車の存在を他車に伝えることになり、安全につながるからだ。

 そのいっぽうで、夜間の高速走行ではメーターパネルやナビなど、ディスプレイの照明を暗くしよう。室内を暗くすることで瞳の瞳孔が開き気味になり、暗い夜間での視界が見やすくなるのだ。

 また、高速道路では渋滞の最後尾になることも多い。その時、前方に渋滞を確認したらハザードを点灯して後続に知らせるのも大切。同時にアクセルをオフにして惰性で減速したうえで、ブレーキをかけて後続車を自車に近づける。後続車との距離をあけて渋滞末尾で停車すると、後続車が気づかず追突される場合があるためだ。

ひとりで乗っている場合、助手席の背もたれを助手席側Bピラーと被るように調整する。助手席背もたれが後部ドア窓の視界を遮っていると、斜め後方の視界が悪くなるためだ

 なお、高速道路を走る時のドライビングポジションは一般道に準ずるものだが、ボクは若干ステアリングとの位置を遠くしてもいいと考えている。同じ姿勢でステア操作も少ないから、ステアリングが近すぎると肘が曲がって窮屈になって疲れやすくなり、車線変更などではステアリングの操作が速くなりすぎてしまいがちだからだ。若干遠目にすることで、ステアリング操作そのものに落ち着きが生まれるのだ。

◎高速道路でも周囲の状況を把握することが大切。そしてライト点灯も薦めたい

■運転マナーとして注意したい点は?

 最後に運転マナーとして注意したい点もある。

 まず、一般道、高速道に関わらず、よくウィンドウオッシャーで窓を洗っている人を見かける。絶対にやってはいけないとは言わないが、人に迷惑のかからない場所にいる時にだけ行いたい。気持ちの問題である。

 また、対向車とすれ違うような細い道でのマナー。すれ違う時は、タイミングをしっかりと取り、可能なかぎり相手にブレーキを踏ませないような速度コントロールをしたい。逆に対向車が譲ってくれたら手でサンキュー合図を。

渋滞の最後尾になる時はハザードを出しながらゆっくり減速し、後続車に気づかせるようにする

 しかし、交差点で発進する時に、相手を思いやりすぎて右折する対向車を意味もなく譲るためにヘッドライトのパッシングで合図するのはやめたい。好意が原因で事故に至るケースもあるのだ。譲り合いは大切だが、瞬間的恩義によって相手を急がせてしまうケースもあることを理解したい。自車に後続車がいないのならば、譲らなくても通り過ぎれば相手は自分のタイミングで右折できるのだ。

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