フロントミドシップの代表的なクルマとは?
●ホンダ S2000
フロントミドシップを採用するFR車は、縦置きのエンジンを運転席の前にレイアウトする都合上、車体のフロント部分が長く、リア側が短いボディスタイルをしているものが多い。
そんな「ロングノーズ・ショートデッキ」と呼ばれるスタイルをまさに具現化したクルマを代表するのが、1999年に登場したホンダ S2000だ。
元F1エンジニアが生み出した、当時の量産エンジンとしては世界最高峰となる、最高出力250psの2.0リッター直列4気筒DOHC VTECエンジンをフロントアクスル後方に配置するとともに、バッテリーやスペアタイヤ、燃料タンクといったその他の重量物も重心近くに集めることで、前後重量配分50:50を実現。
重量面や剛性面で不利と言われるオープンスポーツカーながら、ハイXボーンフレーム構造という独自の技術によって生まれた専用ボディの採用で、クローズドボディと同等以上のボディ剛性も引き出し、ダイレクト感に優れたハンドリングへと仕上げられている。
ちなみにホンダでは、S2000のエンジンレイアウトのことをフロントミドシップではなく、「FRビハインドアクスルレイアウト」と命名していた。
●マツダ RX-7/マツダ ロードスター
ハンドリングが優れたクルマと聞いて多くの人が連想するのがマツダのRX-7ではないだろうか。
なかでもその3代目にあたるFD3S型ことアンフィニRX-7は、コンパクトな直列2ローターツインターボのロータリーエンジンの特性を活かし、スポーツカーとしては最適な前後重量配分50:50を実現したフロントミドシップのFRを代表する一台と言えるだろう。
1400kgを下回る軽量な車体、前後ともにオールアルミ製のダブルウィッシュボーン式のサスペンションが奢られた足回りなど、その姿はまさに走るために生まれた生粋のスポーツカーを体現したものだった。
2003年にその販売を終えたアンフィニRX-7だが、同じマツダには、もう一台、フロントミドシップのレイアウトを採用したFRの名車がある。クルマ好きのみなさんならもちろんご存知であろうロードスターだ。
1989年に登場した初代モデルであるユーノス・ロードスターから歴代モデルすべてで前後重量配分50:50を採用し続けており、そのこだわりはもはや伝統といっても過言ではない。
もちろん、その伝統は4代目となる現行のND型ロードスターにも受け継がれており、同じく初代NA型から続くコンセプトである「人馬一体」をさらに追求するため、1.5リッターのDOHC直列4気筒エンジン「SKYACTIV-G 1.5」をフロントミドシップに搭載。
小型・軽量化を図った新開発の6速マニュアルミッション「SKYACTIV-MT」も最適な前後重量配分の実現に大きく寄与している。
●トヨタ スープラ
現行モデルのFRレイアウトのクルマとして、思い浮かぶもう一台がトヨタのGRスープラだ。
長年のフェンからすれば、スープラといえば6気筒エンジンというのが常識。
フラッグシップである3.0リッター・B58エンジン搭載の「RZ」はまさにその流れを受け継ぐモデルだが、こと前後重量配分という視点から見ると、4気筒である2.0リッター・B48エンジンを積む「SZ」系のほうが50:50とバランスが優れている。
これはB58と比較してB48のほうが約70kgも軽く、エンジン長も短いことでより重心位置がセンター寄りとなり、フロントミドシップレイアウトになっていることが大きく寄与している。
そのハンドリングは軽快そのもので、ワインディングでドライバーの意のままにグイグイと曲がっていく楽しさから、4気筒モデルを推す専門家も少なくない。
先頃、2026年3月をもって生産終了することがアナウンスされたGRスープラだが、今後の動向が気になるところだ。
現在ではあまり採用されることがないフロントミドシップレイアウトのFR。とはいえその優れたハンドリングは、クルマの運転が好きなドライバーにとってはやはり大きな魅力。クルマ好きを自認する人であれば一度は味わっておきたいものだ。
【画像ギャラリー】FRの皮を被ったミドシップたち(10枚)画像ギャラリー












コメント
コメントの使い方スープラは歴代どれも、意外にも広くて活用しがいのあるラゲッジを備えますからね。86とかも予想外に積める。MRだとこうはいかない。
とはいえ、FRでもGR GTやカプチーノみたいな特殊な車は収納全くないし、MRでも初代&二代目MR2は一通りの車載したい物詰め込めて、更に二人分の手荷物を積めました。