「スタッドレス」×「乾燥路」の注意点
注意したいのは、スタッドレスを装着した状態で、乾いた路面を走行する時だ。
スタッドレスタイヤは、凍結路面への密着性を高めるためにゴムが非常に柔らかく作られているため、乾燥した路面ではノーマルタイヤに比べて走行安定性が若干劣るからだ。その状況下で夏タイヤと同じ感覚で運転すれば、危険をともなう可能性がある。それを回避するために知っておきたいスタッドレスの特性3つは以下のとおりだ。
●注意点1 ステアリング応答性が低下する
ノーマルからスタッドレスに履き替えた時、操縦感が「フワフワする」と感じる。これこそが柔らかいゴムを採用した、スタッドレスならではの特性で、コーナリングの際に夏タイヤよりも踏ん張りがきかず、ステアリングの反応も鈍くなる。
こうしたコンディションで急ハンドルを切れば、思ったとおりのラインを描けず、横滑りなどを起こす可能性が高くなるだろう。こういったことから、急ハンドルは避け、カーブ手前では十分に減速するなど、アクセルワークも慎重に行いたい。
●注意点2 制動距離が長くなる
前述のとおり、積雪路面や凍結路面を考慮して設計されたスタッドレスでは、夏タイヤと比べて接地面積が少なく、制動距離が10~30%ほど長くなるというテスト結果も報告されている。
そのため、乾燥した路面を走行する場合は前車との車間距離を通常よりも長めにとるべき。
●注意点3 急な操作で横滑りや空転が起こりやすい
スタッドレスタイヤのゴムは、凍結路面への密着性を高めるため、夏タイヤよりも非常に柔らかく作られている。そのため、乾燥路面を走行する際、コーナリングや急な車線変更などで横方向の力がかかると、柔らかいブロックが大きくよれて(変形)してしまう。
この「よれ」によってタイヤが路面を捉える力が急激に失われるため、夏タイヤと同じ感覚で操作をすれば、横滑りやタイヤの空転が起こりやすい。
この特性を念頭におけば、急発進、急加速、急ブレーキはもちろん、急ハンドルや急なレーンチェンジも避け、常にマージンを意識した運転が必須となる。
ちなみに、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)やESP(横滑り防止装置)があれば大丈夫と過信してはいけない。スタッドレスを乾燥路面で使用すると、ノーマルタイヤでの走行時に比べ、想定どおりに作動せず、ブレーキやコーナリングの制御効果がやや低下するおそれがあるからだ。
また、スタッドレスの排水構造は雪やシャーベット向けに最適化されているため、雨天時に使用すると雨水を十分に排水できず、ハイドロプレーニングが起きやすくなることも頭に入れて運転してほしい。
【画像ギャラリー】知っておきたい! スタッドレスタイヤの特性(8枚)画像ギャラリー








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