トランプ関税の影響なし!! 業績は好調!! メーカー内初のBEVを出したスズキの2025年はどうだった?

トランプ関税の影響なし!! 業績は好調!! メーカー内初のBEVを出したスズキの2025年はどうだった?

 さまざまな出来事があった自動車業界の2025年。近年のように頻繁に風向きが変わるような場合、ここで取り上げるスズキのように、小回りが利き堅実なメーカーのほうが上手に立ち回るものだ。スズキの2025年を総括し、評価&採点する。

※本稿は2025年12月のものです
文:井元康一郎、渡辺陽一郎/写真:スズキ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年1月10日号

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井元康一郎の評価

スズキ初のBEV、eビターラの販売を開始。苦しい時に強さを発揮するのがスズキのしたたかなところ
スズキ初のBEV、eビターラの販売を開始。苦しい時に強さを発揮するのがスズキのしたたかなところ

 2025年度中間決算で最も粘り強さを見せたのがスズキ。売上高は2兆8642億円と、上半期としては過去最高。営業利益は前期比で584億円減の2765億円にとどまったが、売上高営業利益率9.7%は日本メーカー中トップだ。

 好決算の背景にあるのは製造コストの安さ。売原価率74.2%は、世界的にインフレが激しくなっている今日の自動車業界では国内外を見ても超優良なスコア。

 売上高から製造原価を引いた総利益は7378億円と、売上高が約2倍の日産より多い。そこから経費を差し引いた営業利益もたっぷり残るという構図である。

 もうひとつの要因はトランプ関税の影響をほとんど受けなかったこと。スズキはアメリカと中国という世界の自動車市場のツートップから撤退ずみ。

 買い手市場は価格競争が激しくなるうえ、政府がその市場を人質として利用しやすい。そういうところからはさっと身を引くという、簡単そうでなかなかできない経営判断を下せたのが奏功した。

 スズキの弱味は自動運転など先端技術の開発力が大手に比べて劣ることだが、小型車に絞るというスズキの戦略はここにきて製造時のCO2排出量の少なさという絶対正義を得つつある。

 欧州で検討されている新規格小型車にマッチさせるなど機動的に立ち回れば、今後も強さを維持できそう。

●井元康一郎の採点
・財務状況:8点
・利益率:9点
・新車販売:9点
・2026年の見通し:9点
・5年後(2030年)の見通し:8点
・総合評価:9点

渡辺陽一郎の評価

2026年1月30日から受注を再開するジムニーノマドへの期待は大きい
2026年1月30日から受注を再開するジムニーノマドへの期待は大きい

 近年のスズキの国内販売順位はトヨタに次ぐ2位だ。軽自動車メーカーと思われがちだが、実際は国内販売台数の20%以上をソリオやスイフトなどの小型車が占める。軽自動車では、オットマンのように使えるマルチユースフラップを備えたスペーシア、車内が広くSUV風のハスラーなどが好調。

 派手な先進技術はないが、軽量化は着実に進めてきた。カテゴリーやパワーユニットを問わず、軽いクルマは環境性能や走行性能を幅広く向上させる。

 また、スズキはインド市場に強く、フロンクス、ジムニーノマド、eビターラはインド製だ。為替レート次第では、割安な価格で販売できる。実際にフロンクスやeビターラは、充実装備で価格が安い。

 スズキ車は修理工場や中古車販売店に併設された小さな業販店でも多く売られ、営業コストを抑えていることも価格が割安な理由だ。

 2026年にはジムニーノマドの受注が再開され、スイフトスポーツやハスラーの一新も期待されるが、環境技術のさらなる進化が今後の課題。

●渡辺陽一郎の採点
・ADASの充実度:4点
・技術的先見性:4点
・新車戦略:5点
・ラインナップの充実度&販売力:8点
・2026年の新車への期待度:6点
・総合評価:7点

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