スタビリティに優れたエアロダイナミクスによる高速安定性
高速域での安定感は、エンツォの真骨頂と言える。アクティブエアロダイナミクスによって生み出されるダウンフォースは、スピードが増すほどクルマを路面に押し付ける。恐怖よりも安心感が先に立つ、高次元の安定性がここにある。
サスペンションはF1マシン同様、ダブルウィッシュボーンのプッシュロッド式。ステアリング操作に対する応答は極めてシャープだ。ノーズは狙ったラインへ正確に入り、ドライバーの意識と車両の挙動が一体化する。
エンツォはただ速いだけでなく、曲がる歓びを明確に伝えてくる。硬質でありながら、路面情報を正確に伝えるサスペンションは、ドライバーに信頼感を与える。不要な動きを抑えつつ、限界域でのコントロール性を高めるセッティングは、まさにレースカー由来の思想だ。
ブレーキとタイヤの恩恵
ブレンボと共同開発されたブレーキは、当時、F1マシンでのみ採用されていたカーボンセラミックローターを初めて市販車に投入したケース。今まで体感できることのなかった減速Gが与えられた。
ブレンボの技術力もそうだが、そのストッピングパワーを実現したのは、ブリヂストンタイヤの貢献が大きい。圧倒的な制動力は、減速時の安定感や加速と同じく重要であり、その完成度の高さが、走行全体の質を引き上げている。
エンツォの生産台数は、わずか399台。そのうち日本に正規輸入されたのは、33台に過ぎないと言われている。この数字だけでも、エンツォ・フェラーリがいかに特別な存在であるかを物語っている。
すでに過去のモデルとなった今なお、エンツォの放つ存在感は決して色褪せない。それは単なるスーパーカーではなく、フェラーリというブランドが「何を目指し、何を信じてきたのか」その答えを、最も純粋なかたちで刻み込んだ象徴だからだ。
たとえ後継モデルがどれほど進化し、性能や数値で凌駕しようとも、エンツォが持つ本質的な価値は揺るがない。フェラーリの思想、情熱、そして覚悟が、この一台に凝縮されているからである。
そしてその真価は、実際にステアリングを握った者にのみ明かされる。走り出した瞬間、ドライバーは知ることになるだろう。エンツォが今なお語りかけてくる、フェラーリのアイデンティティとスピリットを。エンツォは、過去の名車ではない。フェラーリの未来へと続く、永遠の指標なのである。
【画像ギャラリー】ドライバーズシートでエンツォと語り合え!! F1のDNAを宿した4代目スペチアーレ・フェラーリ エンツォ・フェラーリ(20枚)画像ギャラリーF140B型エンジン解説
F140Bのコードネームを持つ65°バンクV型12気筒DOHC48バルブエンジンは、エンツォ専用に開発された。
シリンダーブロックにアルミ合金を採用した排気量5998cc、自然吸気ながら669.2psを発揮。可変バルブタイミングにより、低回転域から力強い加速を実現する。
ドライサンプ方式で限りなく低く搭載されたエンジン本体は、まさにF1マシン。アクセルペダルを床まで踏み込むと美爆音という表現がしっくりくる跳馬12気筒サウンドは唯一無二。
●フェラーリ ENZO Ferrari 主要諸元
・全長×全幅×全高:4702×2035×1147mm
・ホイールベース:2650mm
・車両重量:1255kg(乾燥重量)
・エンジン形式:65°V型12気筒DOHC48バルブ
・総排気量:5998.8cc
・最高出力:660hp(669.2ps)/7800rpm
・最大トルク:67kgm/5500rpm
・ミッション:6速F1マチック
・駆動方式:MR
・サスペンション:F/R)独立懸架ダブルウィッシュボーン式
・ブレーキ:F/R)カーボンセラミック・ディスク
・タイヤサイズ:F)245/35ZR19R)345/35ZR19
・0-100km/h加速:3.65秒
・0-400m加速:11秒
・0-1000m加速:19.60秒
・公表最高速度:350km/h以上
・生産期間:2002~2004年























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