半世紀にわたって続いた悪税「ガソリンの暫定税率」が2025年末にやっと廃止され、この4月1日からはクルマの購入時にかかる「環境性能割」も2年間停止されることになった。ただし、いまだ主に7種類もの自動車関連税を徴収され続けている。私たちはどんな税金を払わされているのか? 取得・保有・使用時の各シーンに整理し、その構造を可視化してみたい。
文:鈴木喜生/写真:写真AC
【画像ギャラリー】クルマ好きに重すぎる現実 “7重課税”の正体(6枚)画像ギャラリー日本の税負担は世界でも最大級!!
日本における自動車関連の税金は、各国と比較するとかなり高い。日本ではクルマを保有すると、普通乗用車の場合は「自動車税」、軽自動車では「軽自動車税」を納税することになるが、それ以外にも「自動車重量税」が徴収される。
自動車税は欧米でも一般的だが、重量税は日本独自の税目。車両重量に応じて課税されるこの仕組みが、保有期間中の固定コストを押し上げ、日本のユーザーの税負担を世界でもっとも重くする主要因となっている。
日本自動車工業会の公表データをもとにJAFが公表した2025年の資料では、排気量2000cc、車両重量1.5トン、車体価格308万円という車両を購入し、13年間保有した場合の税金の総額を各国別で比較している。
それを見ると、「自動車税」だけの負担額は、イギリスが46万5000円、ドイツは19万1000円、アメリカに至ってはわずか2万8000円。しかし、日本ではどこよりも高い自動車税46万8000円(種別割)に、さらに「重量税」の16万円が加算され、13年間で62万8000円となる。しかも昨年まではここに自動車の取得時に課される地方税「環境性能割」の2万8000円が加算されていた。
つまり日本は、環境性能割が停止された現時点においても、イギリスの1.4倍、ドイツの3.3倍、アメリカの22.4倍の税金が設定されている。
「エコカー減税」と「環境性能割の停止」の効能
しかし、1997年の京都議定書採択会議(COP3)以降、地球温暖化対策への意識が世界的に高まり、さらに2008年にリーマン・ショックが発生すると、景気対策の一環として2009年からエコカー減税(環境対応車普及促進税制)が導入された。
エコカー減税とは、燃費や排出ガス性能に優れたクルマの税金を安くする制度のこと。これは政府がユーザーに対し、環境にやさしいモデルの購入を促すことで、CO2削減と自動車産業の活性化を目的としたものだ。
これによって、購入時や車検時にかかる自動車重量税が、各モデルの性能に応じて免税または軽減されている。ただし、この減税・免税制度が導入されて以降も、日本におけるクルマ関連の税目(税金の種類)は異様に多い。
例えば、トヨタのヤリスZグレード(ハイブリッド車・1.5L・2WD)を2026年4月中に新車で購入し、保有・使用した場合に、そのオーナーがどれだけの税金を納めることになるかをシミュレーションしてみよう。ここではオプションや保険は考慮しないものとする。
メーカー希望小売価格は242万7000円(税抜)。この車両価格に「消費税10%」(24万2700円)が上乗せされ、購入金額は266万9700円となる。2026年4月1日以降は「環境性能割」が2年間停止されるので、これまで徴収されてきた6万5500円は免税される。
さらにこの車両を保有すると、「自動車税(種別割)」と「自動車重量税」を支払うことになる。
自動車税(種別割)は、各年度の4月1日に支払うもので、ヤリスの場合は年間3万500円。そのため2026年4月中にヤリスZを購入した場合、月割り分として5月分から種別割を支払うことになり、その年度の納付は11カ月分で約2万8000円となる。
一方、自動車重量税は、新車登録時(初回3年分)と以降の車検時(2年分)に納付するものだが、ヤリスZの場合はエコカー減税の対象となるため、そのどちらもが免税されてゼロとなる。
もしエコカー減税がなければ、購入時(3年分)に3万6900円、初回車検時(2年分)に2万4600円、計6万1500円が課されるので、これは大きい。
ただし、エコカー減税の対象ではあっても、ヤリスZのオーナーは2回目(6年目)以降の車検からは、年間1万5000円(本則税率)を納税することになる。
結果、ここまでに払った税金(購入初年度)は、消費税10%の24万2700円と、種別割(11カ月分)の約2万8000円、計約27万700円となる。
ちなみに、ヤリスZは燃費基準を達成しているため、環境性能割の税率はもともと0%。また、エコカー減税のおかげでキャンセルされた税額は6万1500円となる。エコカー減税による軽減率もなかなかのものだと感心する人もいるかもしれないが、そもそも過重な税制設計なので自動車ユーザーとしては当然のこととして受け止めたい。








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