時代の変化とともになくなっていったものたち
かつては、あらゆる自動車にはシガーライターソケットと灰皿が標準装備されていた。喫煙者にとっては便利な装備だったのだろうが、非喫煙者にとってはまったく不要なものである。私自身タバコを吸わないため、車を購入するたびに灰皿とライターを「一緒に買わされている」という感覚が拭えなかった。
しかし、メーカーの開発担当者と議論を重ねる中で、現在では灰皿はオプションになっているケースや、アクセサリーとして用品店で並ぶのが一般的になっている。必要な人だけが選択するという合理的な仕組みに変わったことは、歓迎すべき進歩と言えるだろう。
よくよく考えてみればサンルーフって要るのだろうか?
次に挙げたいのがサンルーフである。とりわけ近年流行している大型のパノラマガラスルーフについては、実用性の面で疑問を感じざるを得ない。まず、ガラスルーフは非常に重量がある。その重量物を車両の最上部に配置することは、重心の上昇を招き、車両運動性能にとって決して有利ではない。
さらに、構造強度を確保するためにはルーフ周辺の補強が必要となり、結果として車両重量はさらに増加する。そのための設計コストも決して小さくない。つまり、わずかな開放感を得るために、車両重量、コスト、設計難易度といった多くの要素を犠牲にしているのである。
加えて現代では、都市部の大気環境や花粉問題、夏季の強い紫外線などを考えると、実際にサンルーフを開けて走る機会は決して多くない。真夏の直射日光の下では、ガラスルーフは触れないほど高温になり、室内温度も上昇する。
近年は遮熱ガラスや電動シェードなどの技術も導入されているが、そこまでしてガラスルーフを装備する必要があるのかという疑問は残る。開放感と引き換えに支払う代償は、決して小さくないのである。 最後に触れておきたいのがサンバイザーだ。
現代の自動車には、価格帯や国籍を問わず、ほぼすべての車にサンバイザーが装備されている。素材こそビニールからレザーまで様々だが、基本的な構造は半世紀以上ほとんど変わっていない。
しかし、この装置は決して理想的とは言えない。サンバイザーを下げると確かに直射日光は遮られるが、その代わりに信号機などの視野が遮られてしまうことがある。また、太陽が低い位置にある場合には十分な効果を発揮しないことも多い。自動車技術がこれほど進歩した現在でも、極めて原始的な機構がそのまま使われ続けているという事実は興味深い。
その装備本当に必要?
例えばフロントガラスの合わせガラスの中に液晶調光技術を組み込み、必要な部分だけ減光する仕組みなどが実用化されれば、ドライバーにとってははるかに合理的だろう。サンバイザーは必要な装備ではあるが、その形式はあまりにも旧態依然としている。いい加減に次の世代の技術へ進化してもよいのではないだろうか。
自動車という機械は、本来、走る・曲がる・止まるという基本性能を中心に設計されるべきものである。装備の充実がその価値を高めることは否定しない。
しかし、装備の数を増やすことが目的になってしまえば、本来の機械としての合理性は失われてしまう。必要な装備は積極的に取り入れるべきだ。だが、本当に必要なのかを常に問い直す姿勢もまた、自動車開発には欠かせないのである。
技術とは、単に追加することではない。不要なものを削ぎ落とすこともまた、重要な進化なのだ。
【画像ギャラリー】ドでかサンルーフの「スカイルーフ」とかあったなぁ……でもパノラマルーフもEVで増殖中!? その快適性ってホントに“必要”??(13枚)画像ギャラリー
















コメント
コメントの使い方