【識者の目】井元康一郎はこう見た
四輪部門で1兆4000億円もの損失を計上し、全体でも上場後初の最終赤字となったホンダ。決算会見は粛々と行われるのが通例だが、今回は会場に2つの世界初公開モデルを持ち込むという異例の演出で臨んだ。
巨額損失はあくまで米国の環境政策の激変でEV戦略が立ち行かなくなったためで、ハイブリッド主体に戦略変更すれば未来はバラ色と印象づけるつもりだったのだろう。
だが、内容的には戦略、ビジョンと呼ぶには抽象的にすぎ、新味にも欠けていた。
三部敏宏社長はハイブリッド技術とADAS(先進運転支援システム)で世界をリードできるような口ぶりだったが、いずれも世界中のライバルが開発競争でしのぎを削っており、どのくらい優位性を出せるかは未知数だ。
そもそもホンダは四輪車ビジネスについて、長いこと利益率低下、販売台数激減という苦しい状況を打開できずにここまで来た。EVの全面見直しは好材料どころか、電動化で一発逆転という夢が潰えた格好である。
今回のビジネスアップデート(経営方針説明)で語られた内容はその流れを変えるような何かを感じさせるものではなかった。ポジティブに受け取られたのは株主への配当は維持するという意思表明だけと言ってもいい。
メーカーとしての潜在力はいまだ高レベルだが、それを発揮できなければ退潮は止められない。ホンダにとって2026年はまさに正念場だ。
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