「愛車のためによかれと思ってやっていること」が、実はクルマに悪影響を与えているかもしれない。よくある日常的な行為でも、間違った知識のまま続けていると愛車の寿命を縮める原因になりかねない。本企画では、実は逆効果になってしまう行為を4つ紹介する。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:Kesuku@Adobe Stock)
NG行為:下り坂をNレンジで走ると燃費がよくなる
まず、走行中の下り坂でATをNレンジにシフトするのは絶対に避けるべき行為である。コースティング(駆動系の伝達を切って駆動抵抗を減らした滑走状態)をイメージし、「燃費が向上する」と考える人も少なくない。
しかし、Dレンジのままでもトルクコンバーターのおかげでエンジンブレーキは強く利かず、アクセルペダルを完全に戻していれば、エンジンがストールしない程度に燃料を噴射するだけで済むため、燃料消費は抑えられる。
一方、Nレンジではエンジンがアイドリングを続けるため、Dレンジで下り坂を走るよりも燃料を消費してしまう可能性がある。
さらに問題なのは、Nレンジでの走行はATにダメージを与えるおそれがあることだ。ATには変速やトルクコンバーターの制御だけでなく、内部を潤滑するためにATFを圧送するオイルポンプが組み込まれている。
Nレンジではエンジンの駆動力が伝わらなくなり、オイルポンプが停止する。その状態で走行すると潤滑不良や油圧不足を招き、AT内部を傷める可能性がある。
ただし、機械式油圧制御のATであっても、多くのAT車にはドライバーのシフトミスを想定した安全機構が備わっており、極低速域以外では前後進のシフト操作を受け付けないようになっている。そのため、誤操作をしてもAT本体にダメージが及ばないよう配慮されている。
NG行為:クルマを労わるためエンジンを高回転まで回さない
クルマを長持ちさせたいと考えると、「低回転で優しく運転することが大切」と考えがちである。確かに、高負荷・高回転の連続使用はエンジンの摩耗を早める要因になる。
しかし、街乗り中心で2000rpm以下しか使わない運転を続けると、エンジン内部にススやカーボンが堆積し、かえってコンディションを悪化させることもある。
結論としては、「毎回高回転まで回す必要はない」が、「まったく回さないのもよくない」ということになる。
【メリット】
・油圧が高まり、オイル経路へのスラッジ堆積を抑えられる
・燃焼温度が高くなり、カーボンやデポジットが焼却されやすい
・エンジン内部の動きが滑らかになり、吹け上がりが改善する場合がある
【デメリット】
・燃費が悪化しやすい
・濃い燃料噴射で加速すると、逆にデポジットが増える場合もある
・高回転を常用すると摩耗リスクが高まる
では、10万km、20万kmと長く乗るにはどうすればよいのか。
・月に1回程度は高速道路を走る
合流時などで3000rpm前後まで回し、その後は一定速度で巡航すると燃焼温度が安定し、デポジットの蓄積抑制が期待できる。
・短距離走行ばかりを避ける
エンジンが十分暖まる前に停止を繰り返すと、カーボンが蓄積しやすい。週末に少し長めのドライブへ出かけるだけでも効果が期待できる。
・ディーゼル車の場合
低回転ばかりではPM(粒子状物質)が蓄積しやすく、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の再生が滞る原因になる。時々3000rpm前後まで回すことで、DPF再生を助け、エンジンの健康維持にもつながる。



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