新車の値引き交渉が厳しくなった今、狙い目として注目されるのが「試乗車・展示車落ち」のクルマだ。なぜ安くなるのか、どの程度まで値引きが期待できるのか、販売現場の実情から読み解いていこう。
文:佐々木 亘/画像:Adobe Stock(メイン画像=Ilja)
【画像ギャラリー】試乗車ってこんなに安くなるの!? 新車価格の1割前後も狙える「値引きのカラクリ」を画像でチェック(8枚)画像ギャラリー試乗車は「登録済みの中古車」である
まず前提として理解しておくべきなのは、試乗車も展示車も、多くの場合すでに販売店名義で新規登録されているという事実だ。書類上は新車ではなく登録済み未使用車、いわゆる「新古車」の扱いになる。走行距離こそ数百キロ程度と少ないが、法律上は立派な中古車であり、これが値引きの土台になっている。
なぜ登録するのかといえば、メーカーから販売店への販売奨励金や登録台数に応じたインセンティブが関係している。月末や決算期に登録実績を積み上げたい販売店の事情と、試乗車・展示車として一定期間クルマを使い倒したいという運用上の都合が重なり、先に登録してしまうケースが多いのだ。つまり試乗車の値引きは、販売店の善意というより、構造的に生まれる副産物だと考えたほうが実態に近い。
値引き相場は「新車価格の1割前後」が目安
気になる値引き幅だが、車種や走行距離、登録からの経過期間によって差はあるものの、新車価格のおおむね1割前後というのが現場感覚に近い目安だ。人気車種で走行距離が少なければ5%程度にとどまることもあれば、モデルチェンジ間近で在庫を早く動かしたい車種であれば15%を超えるケースも珍しくない。
特に値引きが大きくなりやすいのは、次のようなタイミングだ。ひとつはフルモデルチェンジやマイナーチェンジの発表直前。旧型の試乗車を一日でも早く手放したいという販売店側の事情が強く働く。
もうひとつは決算月(多くのメーカーで3月・9月)で、登録実績と在庫回転を同時に達成したい思惑から、通常より踏み込んだ価格提示が出やすい。逆に、発売直後で人気が過熱している車種の試乗車は、そもそも数が少ないうえ値引き幅も渋くなる傾向にある。
【画像ギャラリー】試乗車ってこんなに安くなるの!? 新車価格の1割前後も狙える「値引きのカラクリ」を画像でチェック(8枚)画像ギャラリー安さの裏にある「見えないコスト」も忘れずに
ただし、試乗車には注意しておくべき点もある。まず、多くの客が乗り降りし、時にはやや荒い運転をされている可能性がある点だ。シートやペダル、ステアリングの使用感は新車とは明らかに異なる。ボディの下回りやサスペンションについても、酷使された形跡がないか、商談前にしっかり確認しておきたい。
次に、メーカー保証の起算日は登録日からカウントされる点も見落とせない。走行距離こそ少なくても、保証期間の実質的な残り日数は新車より短くなる。さらに、色やグレード、オプションの組み合わせを選べないという制約もあるのだ。値引き額の大きさだけに目を奪われず、こうした「見えないコスト」との天秤にかけて判断する必要がある。











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