高速燃費も改善!! 第3世代e-POWERは何が変わった?
e-POWERは、ガソリンエンジンで発電し、その電力を使ってモーターでタイヤを駆動する日産のシリーズハイブリッドシステムです。トヨタのハイブリッドシステムとは異なり、エンジンがタイヤを直接駆動することはなく、走行はすべて駆動用モーターが担います。第3世代e-POWERでもこの基本的な仕組みは変わっていませんが、システムの構成が大きく進化しました。
大きな変更点が、モーター、発電機、インバーター、減速機、増速機という5つの主要部品を一体化した「5-in-1 e-POWER電動ユニット」です。ユニットの小型・軽量化とともに、内部損失や振動を抑え、効率と静粛性を高めています。
組み合わされるエンジンも、発電用途に特化して設計されています。タイヤを直接駆動する必要がないe-POWERでは、走行に必要な電力やバッテリー残量などに応じて、効率のよい回転数と負荷を選んでエンジンを運転できます。第3世代ではこの利点をさらに生かし、燃料消費を抑えています。
こうした改良の効果がとくに表れているのが高速道路です。日産によると、ADAC(ドイツ自動車連盟)の燃費評価に基づく独立試験で、第3世代e-POWERを搭載するキャシュカイは、従来型と比較して、実走行条件で最大16%、高速道路では14%の燃費向上が確認されたそうです。
新型エルグランドで実測!! 高速主体なら15~16km/L程度
高速道路での燃費向上は、長距離移動に使われる機会も多いと思われる新型エルグランドにとっても気になるポイントです。
キャシュカイと新型エルグランドには、同じ「ZR15DDTe」型の1.5L直列3気筒ターボエンジンが発電用として搭載されています。ただし、キャシュカイが前輪駆動であるのに対し、新型エルグランドは電動4輪駆動のe-4ORCEを採用。一般に4WDは、後輪を駆動するためのモーターなどが加わるぶん、2WDよりも重く、燃費面では不利になる傾向があり、キャシュカイは1624~1727kg(英国仕様のKerb weight)であるのに対し、エルグランドの車両重量は2430~2510kgです。測定基準やボディサイズ、駆動方式が異なるため厳密な比較はできませんが、エルグランドのほうが800kg前後重くなっています。
モーター出力や制御を含むシステムの仕様も、それぞれの車格や駆動方式に合わせて異なります。
では、燃費を伸ばすための特別な運転ではなく、日常の移動や長距離ドライブで新型エルグランドを使った場合、どの程度の燃費になるのでしょうか。
筆者は2026年7月下旬に新型エルグランドが納車されたあと、近所への買い物から一般道、高速道路を使った長距離移動まで、さまざまな用途で乗り、これまでに満タン法による燃費計測を2回行いました。1回目は約800kmを走った時点で、メーターに表示された残りの走行可能距離が約250km。2回目は約900kmを走った時点でも、約130kmと表示されていました。なお、燃料タンク容量は67Lです。
走行環境は、一般道が約3割、高速道路が約7割です。エアコンは26度設定で常時使用し、高速道路では渋滞にも遭遇しています。高速走行ではプロパイロットによる巡航を基本とし、新東名高速道路や東北自動車道では120km/hで巡航する場面もありました。
こうした条件で、実際の給油量から燃費を計算したところ、1回目は819.3kmを走行して53.42Lを給油し、約15.34km/L。2回目は910kmを走行して59.72Lを給油し、約15.24km/Lでした。カタログ上のWLTCモード燃費は16.8km/Lですから、達成率はいずれも約91%です。燃費を伸ばすことを意識した運転ではなく、普段どおりに使って15km/L台前半を記録したことには驚きました。
第3世代e-POWERの進化は燃費の数字だけではないことも実感しています。高速巡航中はエンジンが作動していても存在感が小さく、モーター駆動らしい滑らかな走りが続きます。燃費と静粛性の両方を高めたことが、第3世代e-POWERの大きな特徴なのでしょう。


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