ランエボXは見た目も中身も一新! 軽量化と低重心化を徹底
ランサーセディアのフルモデルチェンジに伴い、ベース車そのものが大きく変わったことで、ランエボXは、それまでとは一線を画すスタイリングを手に入れた。個人的にも、ランエボXのデザインは非常に好きだ。
歴代ランエボはワイドトレッド化されたリアフェンダーとベース車のボディとのつながり、特にCピラー周辺の処理にデザイン的な課題があった。
しかしランエボXでは、そこが非常にうまくまとめられている。2026年の現在見ても古さを感じさせないスタイリングだと思う。 フロントボンネットにはアルミを継続採用し、エアアウトレットも設けられた。さらにルーフをアルミ化することで車体上部を軽量化し低重心化も図られている。
フロントフェンダーのエアアウトレットも特徴のひとつだ。市販車ではカバーで覆われているが、レース仕様車では実際に空気を抜くことでタイヤハウス内の圧力を逃がし、ボディ側面のエアフローを改善することができる。
結果としてブレーキ冷却などにも良い影響を与える。エンジンも大きく変わった。アルミブロックの軽量な新エンジンとなり、搭載方向もそれまでとは異なる後方排気となった。エンジンそのものを軽量化し、ランエボの長年の課題だったフロント重量を減らすという意味では大きな進歩だった。
速さだけでは作れない時代へ SSTと電子制御で進化したランエボX
ただし、時代の要求は厳しかった。排出ガス規制や燃費基準に対応しながらパワーを引き出し、さらに北米市場で要求されるさまざまなオクタン価の燃料に対応し、耐久性も確保しなければならない。レースカーとして考えれば、動力性能面である程度の妥協を受け入れざるを得ない状況になっていた。
それでも2008年シーズンのスーパー耐久でクラス優勝を果たすことができた。
しかし、それまでライバルのスバル・インプレッサをほとんど寄せ付けず、ときには格上のGT-Rさえ凌駕していたランエボの姿を知っているだけに、サーキットでの絶対的な速さが犠牲になっていたことは否定できない。ランエボXのもうひとつの大きな特徴が、ツインクラッチSSTだ。
現在でいうDCTを国産車としていち早く採用し、ステアリングコラムに設けられたパドルでマニュアル変速ができるだけでなく、Dレンジに入れればフルオートマチックで走ることもできた。その制御は国内だけではなく、ドイツ・ニュルブルクリンクや欧州の道路でも積極的にテストを行い、非常に完成度の高い変速プログラムを作り上げていた。
当時としてはまだ珍しかったローンチコントロールも採用され、サーキットやジムカーナなどではDレンジのままでも速く走れる制御が完成していた。つまりランエボXは、メカニカルな4WDスポーツカーから、電子制御によってクルマ全体を統合的にコントロールするハイパフォーマンスカーへと進化したモデルだったのである。
ランエボXで終わるはずじゃなかった! その先にあった「XX」構想
そして、この先に考えていたのが「ランエボXX」だった。ランエボXで終わらせるのではなく、その後も毎年少しずつ進化させていく。車体の高剛性化、軽量化、サスペンションの改良、四輪駆動制御の進化。そして、自身がスーパー耐久で生み出した「Sタイ制御(Sはスーパー耐久の意)」も、その先には市販車へフィードバックできる可能性があると考えていた。
Sタイ制御は、レースで実際に大きな効果を発揮していた電子制御技術だった。駆動力配分だけでなく、制動力も自在にコントロールする。その制御は全天候で威力を発揮でき、ランエボのような高性能4WD車にとって大きな武器になるはずだった。
ほかにも、シャシーのアルミダイキャスト化やドアフレームの高剛性・軽量化など、ランエボXXへ向けてさまざまな改良案を提出していた。
しかし、それらを実際に何年かけて、どこまで市販車へ反映するかを決めるのは最終的には三菱自動車の経営判断になる。残念ながら自身がランエボX以降の開発に関わる機会はなくなり、ランエボはXファイナルでシリーズを終えることになってしまった。



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