道半ばで消えたランエボXX 目指していたのは車両全体の統合制御
それは、まさに道半ばだった。だから「マイベスト・ランエボ」を聞かれたとき、実際に存在したランエボV RSやVIII MR、Xを選ぶのではなく、あえて「ランエボXX」と答えたいのだ。それは、自身が想い描いた「こうなってほしかったランエボ」の完成形だからだ。
ちなみに、ランエボXXへの開発で草案していた技術の一部は、その後、日産GT-R R35型など別の高性能車で実現されていった。もちろん、ランエボとGT-R、自身と日産の間に直接的な関係があるわけではない。
しかし、世界のハイパフォーマンスカーを見ていれば、各メーカーが同じ技術的な方向へ進んでいくことは自然なことでもある。四輪の駆動力を電子制御する。シャシーを軽量かつ高剛性にする。エンジンやトランスミッションだけでなく、車両全体をコンピューターで統合制御する。そうした流れの先に、私が考えていたランエボXXもあった。
現在の三菱はアウトランダーPHEVやトライトン、デリカミニなど、SUVやオフロード性能を重視した方向へ進んでいる。それはそれで三菱らしい強みだと思う。
しかし、ランエボのようなオンロード高性能車が再び登場する日を、今でも心のどこかで期待している自分がいる。もしそんな日が来るなら、ぜひSタイ制御を実装してほしい。当時の技術を知るエンジニアも、今はまだ三菱に残っていると知っている。
最高のランエボは「まだ完成していない」
いつか再びランエボのような高性能車が生まれ、その技術が日の目を見ることがあれば、それこそが私にとっての「最高のランエボ」になるだろう。ランエボV RSは、間違いなく速かった。VIII ⅨMRは速さと耐久性を高い次元で両立した。ランエボXは電子制御とSSTによって、次世代の高性能車へ進化した。
しかし私が一番乗ってみたかったのは、その先にあるランエボだった。それが「ランエボXX」である。実際には存在しなかったクルマだからこそ、そこにはまだ無限の可能性が残っている。私の中では、ランエボはまだ完成していない。
いつの日か、時代が再び高性能4WDスポーツを必要とすることがあるのなら、そのときに「ランサーエボリューション」という名前が復活し、想い描いたランエボXXを超えるクルマが登場することを願っている。それが、長くランエボの開発とレースに関わってきた私にとっての、マイベスト・ランサーエボリューションになるのである。
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