紅葉が山肌を染める季節。赤や黄色に色づいた木々を眺めながら山道をドライブするのは、この季節ならではの楽しみですが、帰りの長い下り坂には注意が必要です。アクセルを戻しても速度が上がり、カーブの手前で減速しても、坂を下るうちにまた加速。気づけば、フットブレーキを踏み続けて速度を抑えている人もいるのではないでしょうか。
フットブレーキを踏んで速度を抑えていれば安心、と思いがちですが、その「踏みっぱなし」は、ブレーキを過熱させ、効きを悪くするおそれがあります。楽しかったドライブが、一転して恐怖に変わりかねないブレーキの異変。下り坂で踏み続けることが危ない理由と、覚えておきたい減速操作を紹介します。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_Mugi/写真:Adobe Stock、写真AC、エムスリープロダクション
【画像ギャラリー】紅葉ドライブの下り坂でブレーキが効かない! 「踏みっぱなし」が危ない理由と正しい減速(13枚)画像ギャラリー踏んでいるのに減速しない!! ブレーキを襲う「熱」の怖さ
多くの乗用車で使われるディスクブレーキは、回転するディスクをパッドで挟み、その摩擦で減速させる仕組みです。摩擦でクルマの運動エネルギーを熱に変えているため、フットブレーキを踏むたびに熱が発生しますが、踏み続けることでパッドの温度が高温になりすぎると、ディスクとの摩擦力が低下。強く挟んでも回転を十分に抑えられず、フットブレーキを強く踏んでも思うように減速できなくなるおそれがあるのです。
ブレーキにたまった熱は、ペダルを踏む力を油圧で伝える液体「ブレーキフルード」にも影響します。フルードが沸騰して気泡ができると、ペダルを踏む力が気泡を圧縮するために使われ、ブレーキパッドを押す力が十分に伝わらなくなります。その結果、ペダルを踏んでも、思うように減速できなくなるおそれがあります。
摩擦力が落ちる現象を「フェード」、踏む力が伝わりにくくなる現象を「ベーパーロック」といいます。どちらもブレーキの過熱によって効きが悪くなる現象です。長い下り坂では、減速しても坂を下るうちに再び速度が上がります。フットブレーキだけで速度を抑えようとすると、パッドをディスクに押し付ける時間が長くなり、ブレーキが過熱しやすくなるため、注意が必要なのです。

Dのまま踏み続けない!! 下り坂で使いたい減速操作
ブレーキの過熱を防ぐ基本は、フットブレーキに減速の負担を集中させないこと。そのために使いたいのが、エンジンブレーキです。
エンジンで車輪を駆動するクルマでは、アクセルペダルを戻すと、エンジン内部の抵抗によって速度が落ちます。これがエンジンブレーキです。AT車では、Dのままでも効きますが、アクセルを戻した状態で低いギアを選ぶと、同じ車速でもエンジンの回転数が上がり、より強いエンジンブレーキがかかります。
低いギアを選ぶ操作は車種によって異なり、「L」や「2」などのレンジに切り替えるもの、マニュアルモードやパドルシフトを使うものがあります。愛車の取扱説明書で確認しておきましょう。
ただし、高速走行中の急激なシフトダウンは減速力を急に強め、濡れた路面などではタイヤが滑るおそれがあります。ギアは坂の勾配や車速に合わせて選び、速度を十分に抑えられない場合は、フットブレーキも併用しましょう。
ハイブリッド車やバッテリーEVでは、モーターが発電する際の抵抗を利用した「回生ブレーキ」も減速を担います。下り坂で減速力を強めたいときは、Bなどのシフトポジションを使いますが、エンジンの抵抗を利用するもの、回生ブレーキを強めるものなど、働きは車種によって異なります。愛車の取扱説明書で、下り坂に適した操作を確認しておきましょう。
また、長い下り坂でバッテリーが満充電になったときや、バッテリーの温度が低いときなどに、回生ブレーキの効きが弱くなる車種もあります。アクセルを戻しても十分に減速しない場合は、フットブレーキで速度を抑えてください。
なお、下り坂で燃料を節約しようと、「N」レンジに入れて惰性で走るのは危険です。エンジンブレーキや回生ブレーキが働かなくなり、速度を抑えるためにフットブレーキへ頼ることになるため、早期の過熱につながるおそれがあります。















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