■MPV・ビアンテとともに消えたプレマシー マツダの「集中と選択」
運転そのものも好きなファミリーマンにとってはベストとも言えるほどの魅力があったマツダ プレマシーが、あっけなく廃番となってしまった理由。いや、それ以上にマツダがミニバンというジャンルそのものから撤退した理由。
それは、「マツダが小さな自動車メーカーだから」ということにほかなりません。
年間1000万台以上のスケールで自動車ビジネスを行っている巨大メーカーであれば、超コンパクトカーからフルサイズバンまでの多種多様な車を企画製造販売しても、上手に経営すれば巨額の利益を上げることができるでしょう。
しかしマツダはグローバル生産台数150万台ほどの、巨大メーカー連合から比べれば「小さな会社」です。
そういった小さな会社がガリバーのような巨人に立ち向かうには、好むと好まざるにかかわらず「選択と集中」を行うことでキャラを際立たせ、しかしそれでいて、実はコストコンシャスな製造体制を敷くことで、初めて戦いの舞台に立つことができます。
そういった意味でマツダは、ある意味日本市場に特化したガラパゴス商品であるミニバンにかかずらわっていても未来はないと考え、それを切り捨てたのです。
そしてその代わりに、世界的な成長ジャンルである「SUV」と、MAZDA3に代表される「デザイン性」という「世界共通言語」に賭けたのです。
そして工場の生産性を上げるうえでも、他のSUVやハッチバックなどとはまったく異なる「スライドドア付きのミニバン」はどうしても生産効率を下げてしまうため、マツダとしては“切る”しかなかったのです。
それゆえ、筆者としても「プレマシーを切ったこと」については何の異存もありません。
しかし、人は理屈だけではなく感情で動く部分も大ですので、プレマシーが最新の技術とデザインを採用したニューモデルに刷新されることなく消えてしまったことについては、どうしたって残念に、悲しく思ってしまいます。
無い物ねだりであることは重々承知であり、3列シートのSUVであるCX-8に文句を言いたいわけでもありません。
しかしそれでも、最近のマツダならではのカッコいい内外装を身にまとった「4代目のプレマシー」に、運転好きなお父さんまたはお母さんと子どもたちが楽しげに乗ってる光景を見たかったなぁ……とは思うのです。
■マツダ プレマシー(3代目)主要諸元
・全長×全幅×全高:4585mm×1750mm×1615mm
・ホイールベース:2750mm
・車重:1490kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、1997cc
・最高出力:151ps/6000rpm
・最大トルク:19.4kgm/4100rpm
・燃費:16.2km/L(JC08モード)
・価格:226万8000円(2014年式 20S-スカイアクティブ)
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