CX-3の販売が衰退した理由
登場時からのCX-3の販売台数は以下の通りだ。
■マツダ CX-3 年間販売台数
2015年/3万20台(※2-12月)
2016年/1万9872台
2017年/1万3108台
2018年/1万7036台
2019年/9889台
2020年/3292台(※1-7月)
このように2018年はビッグマイナーチェンジで回復したが、低迷が続いている。その背景としては以下のような理由が考えられる。
【1】割り切ったコンセプトで売りやすいクルマではなかった
前述したようにCX-3は広さに注力していない、スタイルや雰囲気重視のクロスオーバーである。そのため「売りやすさ」や「万人向けか」といった観点では初めから難しいところがあったように思う。
【2】ライバル車の台頭
2016年までCX-3と比較されそうな車格の近いSUV/クロスオーバーは、ホンダ ヴェゼルとスバル XVくらいであり、CX-3にも居場所があった。
しかし、SUVブームもあり、2016年12月にCX-3より半車格くらい上でキャラクターの近いC-HRが登場。CX-3より小型なSUVでは2019年11月に、クルマのデキはともかく、CX-3より安くて広いトヨタ ライズ/ダイハツ ロッキーが登場。
発売から時間が経ったことに加え、個性の強いCX-3の販売が伸び悩むのもやむを得ないだろう。
1.5ガソリン車こそ「ベストなCX-3」
本稿執筆のために借用したCX-3の1.5ガソリン車は、上級の「15Sツーリング(FF)」で価格は199万1000円だ。
久々にCX-3に乗ると、旧デミオオーナーだった筆者にとっては、クオリティの高いインテリアが懐かしくもあり、好印象。
運転すると「価格も含め今まででベストなCX-3」という印象が残った。具体的に見ていくと、まず動力性能は1210kgの車重に111馬力ということもあり、ごく普通である。
フル乗車の際などはパワー不足を感じるケースもあるかもしれないが、アクセルを深く踏むと耳障りではないエンジン音を伴いながら活発に回転を上げるので、ストレスを感じることはなさそうだ。
また、CX-3は改良により少しずつ乗り心地も改善されているものの、今まで18インチタイヤ装着車以外のCX-3に乗った記憶がなく、筆者は良い印象がなかった。
それが1.5ガソリン車は、タイヤを16インチにしたことがプラス要素となっているようで、乗り心地に大きな不満はないというレベルに改善された。
不満を挙げるなら、2Lガソリン車や1.8Lディーゼルターボ車との差別化や価格のためという要因もありそうだが、先行者追従型のアダプティブクルーズコントロールや操舵支援といった運転支援システムの設定がないこと。
これに関しては、先行者追従機能のない通常のクルーズコントロールだけでも装備されれば、なお良かったと思う。
また、燃費はWLTCモードの17.0km/Lに対し、流れのいい幹線道路と首都高を中心に300kmほど走って14km/L台半ばだった。総合するとCX-3の1.5Lガソリンは全体的に普通という印象だ。
しかし、1.5L級ガソリンエンジン搭載の競合SUVよりも安い約200万円の価格なら、2人乗車までを中心としたシティユースに使われることが多いであろうCX-3のキャラクターも考えれば、CX-3が気になる人には大きな後押しとなる存在なのは間違いないだろう。
それだけにCX-3の販売台数は今年6月/1142台、7月/650台と新型コロナウイルス禍の影響も考えれば復調傾向で、販売比率でも1.5Lガソリンは現在全体の約80%を占めているという(ちなみに2Lガソリンは約9%、1.8Lディーゼルターボは約11%だ)。
1.5Lガソリンの登場が「あと1年早ければ」と感じることである。
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