■回転差が原因で発生するデフへの負担
もう一点不安要素があります。それは最近のクルマではほぼ全車装備されているABSおよびESC(横滑り防止装置)です。タイヤが回転差を常にモニタリングしているので、回転差が大きくなると異常を検知してワーニングが出たり、カーブなどでさらに回転差が大きくなったときにABS、ESCの介入するといったケースも考えられます。
ではタイヤ4本の交換は厳しいけれど2本なら……。こんなケースはどうでしょう。この場合は左右のタイヤをつなぐデフに起こっていたことが、センターデフやトランスファー(仮にセンターデフ部といいます)に起こります。
前輪2輪、あるいは後輪2輪が新品になった場合、回転差はセンターデフ部の負担となります。前後デフのようセンターデフがついている場合は、回転差を吸収してくれますが、これにLSD(差動制限装置)がついているとクラッチやギヤ、カップリングの発熱につながる恐れがあります。
トランスファーの場合は、パートタイム4WDは即座にブレーキング現象を起こしクルマが走りにくくなります。最近の4WDの多くは多板クラッチを使ったカップリング機構で後輪あるいは前輪を駆動しているタイプが多くなってきました。こうしたタイプの4WDの場合は、カップリングのクラッチがいつも半クラ(半クラッチ)状態になっているイメージです。
じつは、ここまで机上の話を引っ張ってしまったわけですが、理屈の上ではこんな具合に機械になにがしかの負担がかかることがわかると思います。また制御系の誤作動の可能性もはらんでいることも。
もうひとつ、こちらは現実的な問題点として考えられるのが排水性やグリップ性能の問題です。特に前後どちらかのタイヤを新品に交換すると前後輪で排水性に差ができてしまいます。
ウエット路面を考えた時、後ろに新しいタイヤを着ければ曲がりにくくなり、前輪に新品タイヤを履けば、リヤタイヤが滑りやすくなります。グリップ性能自体も、タイヤの磨耗や劣化次第ですが、古いほうが滑りやすくなります。
■何本交換が必要なのか!? その答えは…
結論的にまとめると、摩耗がそれほど進んでいなければ、タイヤ1本交換でまず問題ないと考えられます。
摩耗が5分山程度まで進んでいたり、タイヤにひび割れができる程度に劣化していたら4本交換を強くお勧めします。
溝の深いSUVタイプは、溝が深いのでタイヤ外径差に注意してください。また、クロカン4WDのようなトランスファータイプのパートタイム4WDは、タイヤ外径に差のあるとデフにダイレクトに負担がかかるので、オンロード、特に高速道路での4WD走行は危険です。
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