アイドリングストップがバッテリーの寿命を削る!! 夏のケアでバッテリーの寿命を伸ばそう

■性能はよくても寿命は短い! 気になるランニングコスト

 さて、高性能を謳うアイドリングストップ付きバッテリーですが、実のところ耐久性はそんなに高くはありません。

 バッテリーメーカーの保証を見ても一目瞭然で、同じバッテリーを普通に使った場合は36カ月または10万km、アイドリングストップ装備車に使った場合は18カ月または3万kmとなっています。これはもう明らかにアイドリングストップ用のバッテリーは耐久性がありませんという宣言です。

 そしてアイドリングストップ用のバッテリーは高価だということも大問題です。

 アルファード用のバッテリーを例に通販サイトの価格で調べてみたところ、アイドリングストップ用のバッテリー「S-95」は約3万円、一般バッテリー「55D23L」は約1万円、寒冷地用の「80D26L」で約1万6000円でした。

 一般バッテリーも36カ月保証でしたので、36カ月分でコスト計算してみると一般バッテリーは1万円、アイドリングストップ用バッテリーは36カ月で2つ必要となるとして6万円。その差5万円です。

 ガソリン 1リットルが150円だとしましょう。5万円分のガソリンは333リットルです。3年で5万円(333リットル)の差ですから、1年なら111リットル。

 環境庁が出しているデータでは、一般的にアイドリング10分で0.14リットルのガソリンを消費すると言われます。111リットル分のガソリンを節約するには約7900分のアイドリングストップが必要、365日クルマを使ったとしても1日約22分のアイドリングストップをしないと元が取れない計算になります。

■どうやって寿命を延ばす? 知っておきたいポイント

 もっとも、アイドリングストップシステムが付くことによって燃費がよくなり、エコカー減税の対象となっているなら、単純に燃料費のみで損得を計算することはできません。

 とはいうものの高いお金を払って買ったバッテリーが車検期間分も持たないというのは、ユーザーとしては腹が立つ部分です。アイドリングストップ付きクルマでバッテリーを長持ちさせる最良の方法は、アイドリングストップをしないことです。

アイドリングストップ機能をカットすればバッテリーも長持ち(tarou230@Adobe Stock)

 アイドリングストップ付きのクルマにはキャンセルスイッチが装備されているはずなので、それを押してキャンセルしてやればアイドリングストップはしなくなります。

 ただし、このキャンセルスイッチはイグニッションをオフにすると復帰してしまいます。後付けのアイドリングストップキャンセラーを取り付ければ、イグニッションオフ時でもアイドリングストップキャンセルを維持して、アイドリングストップなしをデフォルトにできます。

アイドリングストップを切って気になるのは燃費だろう。こちらはアルファード/ヴェルファイアとロードスターの燃費表だが、車種による違いもあるにせよ、有無による燃費向上は総合して5%程度、市街地で10%程度となる

 アイドリングストップキャンセラーを取り付けても、車検は通ると言われていますが、駐停車の時にアイドリングさせておくことは各都道府県条例で禁止されています。アイドリングストップキャンセラーはあくまでも信号待ちや渋滞時、一時停止などでのアイドリングストップをキャンセルするために使うものです。

 また、これは筆者本人の考えなのですが、アイドリングストップすることでモード燃費を向上しエコカー減税が受けられるようになったクルマでアイドリングストップキャンセラーを付けるのは、間接的な脱税につながりそうでどうも気が引けます。

 アイドリングストップすることで、燃費が圧倒的によくなり出費を抑えられるなら話は別ですが、アイドリングストップは実はユーザーにはあまり優しくない方法なのです。バッテリーの高さもユーザー寄りではありません。

 そうしたなか、トヨタが「ヤリス」にアイドリングストップを採用しなかったことなどは、なかなかユーザーのことを真剣に考えているのだな……と感心させる出来事でした。トヨタ、やるじゃん!

最新車としては異例のアイドリングストップ非搭載を決めたトヨタ「ヤリス」。ヤリスはハイブリッド車のみアイドリングストップが付く

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