■地味さが命取りに!? ホンダ キャパが一代限りとなった理由
地味ではあるものの、けっこういい車(実用的で、なおかつまあまあ走りの良い車)ではあったホンダ キャパが、1代限りであえなく消滅してしまった理由。
それは、本稿のなかで繰り返し使ってきた単語である「地味」であるというのが、主たる理由でした。
キャパにはわかりやすいスペック上の華がなく、全体や各部のデザインも、良く言えばオーソドックスで好ましいのですが、あえて悪く言うなら「没個性的で地味」といった感じになります。
個人的には、地味であることが悪いとはまったく思いませんが、やはりRV(レクリエーショナル・ヴィークル)ブームの中を生きていた多くのユーザーとしては、「せっかくだから、もう少し遊び心のある車を買いたい……」と感じたのでしょう。
そういった意味でホンダ キャパも、過不足ない1.5L自然吸気エンジンをメインとしつつも「ちょっとパワフルな過給器付きグレード」をカタログにちょい足ししたり、せっかく広大なフラットフロアなのですから、「ATはコラムシフトにして、室内をウォークスルーにする」などの細工を施していたならば、もしかしたらもう少し売れたのかもしれません。
しかしそういった“遊び心”という側面は、キャパの実質的な後継モデルであるモビリオが引き継いだというか実現させましたし、「大きすぎないサイズの、背が高い実用車である(それでいて走りも悪くない車である)」というキャパの基本コンセプトは、現在のホンダ フリードでしっかり花開いているようにも思えます。
そう考えると、キャパの誕生と消滅も決して無意味ではなかったはずだと、今にして思うのです。
■ホンダ キャパ 主要諸元
・全長×全幅×全高:3775×1640×1650mm
・ホイールベース:2360mm
・車重:1110kg
・エンジン:直列4気筒SOHC、1493cc
・最高出力:98ps/6300rpm
・最大トルク:13.6kgm/3500rpm
・燃費:14.8km/L(10・15モード)
・価格:155万8000円(1998年式 D)
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