毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタ マークXジオ(2007-2013)をご紹介します。
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文:伊達軍曹/写真:TOYOTA
■「Saloon’s Future」をテーマに登場したトヨタ マークXジオ
「セダンとステーションワゴンのいいとこ取りをしたクロスオーバーモデル」として登場したものの、そのコンセプト自体がどうにも市場に受け入れられず、またデザインも率直に言ってイマイチだったせいか、あっけなく1代限りで消滅したトヨタの中型ワゴン。
それが、トヨタ マークXジオです。
2005年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカー「FSC(フレキシブル・サルーン・コンセプト)」の市販バージョンであるトヨタ マークXジオが発売されたのは2007年9月のこと。
「積載性に優れるワゴン型ボディ」に「ゆったり座れる独立式シート4脚」を置き、そして荷室に「いざというときのための3列目シート」を忍ばせた車というのが、マークXジオのあらましです。
ただし「マークX」という冠は付いているものの、車台はFFのハッチバックであるオーリスやブレイドなどと共用です。
ボディサイズは全長4695mm×全幅1785mm×全高1550mmで、ライバルと目されたホンダの低床ミニバン「オデッセイ」より少しだけ小さい(75mm短く、15mm狭い。全高は同じ)というのがマークXジオのサイズ感でした。
2列目にベンチシートを採用した5座のモデルもありましたが、基本的には座席数を4つに絞ることで(トヨタのうたい文句としては)「大人のための上質な空間」が実現し、なおかつステーションワゴン並みの広い荷室スペースが確保されました。
そして荷室には、トヨタが「4+FREE」と呼んだコンセプトに基づく2つのエクストラシートが隠されています。
エンジンは最高出力163psの2.4リッター直4と、同280psの3.5L V6という2本立てで、トランスミッションは2.4L直4にはCVTが、3.5L V6には6速ATが組み合わされました。
安全装備の面では、電動パワステとブレーキ、駆動力を協調制御して車両を安定させる「S-VSC」を全車に標準装備。フロントからサードシートまで展開するカーテンシールドエアバッグも全車標準でした。
このような形で登場したマークXジオは発売当初、目標月販台数の4000台を上回る5000台以上を売り上げましたが、すぐに失速。3カ月目の販売台数はわずか1649台という体たらくでした。
その後は2010年7月に5人乗り仕様を設定し、2011年2月にはフロントまわりのデザインを変更するなどのマイナーチェンジも行いましたが、販売状況は好転せず。
結果として2013年12月、マークXジオの生産と販売は終了となりました。
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