トヨタ マークXジオが「セダンとワゴンの良いとこどり」になれなかった訳【偉大な生産終了車】

■SUVの勃興 デザイン… ジオが一代限りとなった理由

 なかなかの意欲作ではあったトヨタ マークXジオが、1代限りであえなく消滅した理由。

 それは、まぁいろいろとあるのでしょうが、結論としては「低床ミニバンのブームが終わり、ほぼ同時にSUVブームが勃興しはじめたから」ということと、「デザインがおまんじゅうみたいだったから」という2点に集約されます。

 マークXジオが誕生した背景には、乗用車的な低床ミニバンであるホンダ オデッセイのヒットがあったはず。

 しかしそのオデッセイも、低床ミニバンのブームが衰退するとともに苦戦が始まり、一般ユーザーの興味は、主に下記の2方向へと集約されていくことになりました。

●子どもが立って着替えられるぐらい背が高くて、なおかつスライドドアを採用しているミニバンや軽ハイトワゴン

●背の高さがそこまで必要ない場合は、「低床ミニバン」ではなく「SUV」

 人気の中心がトヨタのノア/ヴォクシーやアルファードなどの「ミニバンらしいミニバン」に移ってしまうと、立体駐車場にも入る全高が売りだったマークXジオのような車はどうしても苦しくなり、「使い勝手以外の部分」で勝負する必要が出てきます。

 とはいえ世の中はミニバンを欲している人だけで構成されているわけではないため、マークXジオの勝機がゼロになったわけではありません。

 背の高さや乗車定員数ではなく「デザイン性」などで勝負する道だってあるわけです。

 しかし残念ながらマークXジオのデザインは、前述のとおり「おまんじゅう」でした。

リアビュー。筆者の表現する「おまんじゅう」が伝わりやすい画像かも知れない。月販目標台数4000台に対し初月の受注台数は8000台と、まずまずの成績を収めたものの、その後の勢いは失速していってしまう
リアビュー。筆者の表現する「おまんじゅう」が伝わりやすい画像かも知れない。月販目標台数4000台に対し初月の受注台数は8000台と、まずまずの成績を収めたものの、その後の勢いは失速していってしまう

 もちろん「この形が好きだ!」という人もいたでしょう。しかし極力客観的に見てみても、そう感じた人は少数派だったはずです。

 以上の流れでトヨタ マークXジオは消滅していったわけですが、日本ではなかなか根付かない「ミニバンとステーションワゴンの中間的存在」というのは、存在としては決して悪くはないはずです。

「ミニバンはいらないけど、ステーションワゴンだとちょっと小さいし(あるいは狭いし)、たまに7人乗るときもあるし」という人だって、それなりにいるはずですから。

 そんな人のために、マークXジオ的な車をもっとシュッとしたにフォルムに変えて、どこへでも走っていけるように最低地上高も少しだけ上げた車を今の技術でもう一度作れば、それってまあまあ売れるのでは……と思ったのですが、よく考えたら、それってすでに存在してますね。

 マツダCX-8などの「3列シートSUV」が、それに該当します。

■トヨタ マークXジオ 主要諸元
・全長×全幅×全高:4695mm×1785mm×1550mm
・ホイールベース:2780mm
・車重:1570kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、2362cc
・最高出力:163ps/6000rpm
・最大トルク:22.6kgm/4000rpm
・燃費:12.8km/L(10・15モード)
・価格:286万円(2007年式 240G)

【画像ギャラリー】生まれてくるのが早すぎた!? トヨタ マークXジオの画像をギャラリーでチェック!

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