ホンダ EVは崖っぷち? 技術力充分でも「尻に灯がついている」ってどういうこと??

ホンダ EVは崖っぷち? 技術力充分でも「尻に灯がついている」ってどういうこと??

 日産が新型リーフを発売し、トヨタがマツダと共同でEV開発に乗り出すなど、ここ最近EVの動きは活発。そうしたなか、ホンダも東京モーターショーで2台のEVを出展、EVを開発するだけの技術力もある。ところが、懸念は技術とは別の部分にあるという。

文:国沢光宏/写真:編集部、HONDA
ベストカー2017年11月26日号


ホンダの大票田ではEVを“売らなくてはならない”

東京モーターショーで公開された「スポーツEVコンセプト」
東京モーターショーで公開された「スポーツEVコンセプト」

 あまり知られていないコトながら、ホンダは現在電気自動車問題で崖っぷちに立たされてしまっている。以下、説明したい。

 ご存じのとおりホンダが大きな収益をあげているのは、アメリカと中国だ。この二カ国、相次いで厳しい電気自動車の販売義務を課す。アメリカは2018年からZEV(ゼロエミッションビークル)を一段と厳しいフェイズとし、大雑把な理解としてZEV対象地域で売られる車の5%を燃料電池車か電気自動車かPHVにしなければならない。

 ちなみに2017年まではハイブリッドもZEVとして認められており、それでも足りないぶんはテスラなどから「クレジット」と呼ばれる権利を購入して凌いできた。

 2018年以降についちゃクレジットを買うだけで間に合わず、1クレジットあたり60万円という巨額の罰金も払わなければならない。ちなみに急速充電器付き&航続距離320kmの電気自動車を売れば5クレジット=300万円ぶんになる。こらもう多少無理してでも電気自動車を売ったほうがリーズナブル。

 中国もヤヤこしいことになった。突如2019年に販売台数の10%以上、2020年に12%以上をアメリカと同じZEVにしなさい、と決めたのである(中国ではNEV=ニューエネルギービークルと呼ぶ)。ホンダは2016年に中国で124万台売っており、今後さらに売れゆき伸ばすと思う。

 したがって2020年ということを考えたら年間15万台近くのZEVを販売しなければならない。いわゆる「尻に火が付いた状況」と言ってよかろう。そんな待ったなしのバックボーンが、直近のホンダから多く出てきている電気自動車関連ニュースとなっているのだった。

技術力は充分、課題はEVにする“クルマ”

アコードPHV(写真は日本仕様の前期型)。日本ではPHVのみリース販売を行っていた。価格は500万円
アコードPHV(写真は日本仕様の前期型)。日本ではPHVのみリース販売を行っていた。価格は500万円

 もちろん、ホンダは日産やトヨタと並び、電気自動車を作れる技術をキッチリ持っている。例えばアコードやステップワゴン、CR-Vに採用されている2モーターハイブリッドは、発電機を搭載した電気自動車と言っていい。モーターを見ても車重1500~1600kg級の電気自動車を軽々走らせられる184馬力で、エンジンをバッテリーに載せ替えれば電気自動車となってしまう。その気になれば、すぐ電気自動車のラインアップを組めるほど。技術的な問題なし!

 ただ、ビジネスベースで考えた時、どうなるかまったく読めない。実際、アメリカでアコードのPHVを販売しているが、高価だし車としての魅力も薄いため低迷してしまっている。

 日産だって先代リーフのモデル末期は、100万円以上値引きしなければ売れない状況になった。売れない電気自動車を販売したって、クレジットが確保できないということです。困ったことにホンダの場合「電気自動車を得意とするブランド」というイメージも薄く、ユーザーの購入対象になりにくい。

 そんな状況のなか、考えたのがラスベガスでお披露目した「Neu V」やフランクフルトショーで発表した「アーバンEVコンセプト」、そして東京モーターショーの「スポーツEVコンセプト」である。

 結論から書くと「電気自動車経験の浅さが出てしまいましたね」と思う。ホンダは電気自動車だから、と奇抜なコンセプトを選んだようだ。されど売ろうとするなら、最も販売台数の多いジャンルであり、なおかつ多くの人が「欲しい!」と感じるクルマじゃないとダメです。

2012年に発表されたフィットEV。コンパクトカー等にEVが設定されれば台数が稼げるはず。ホンダなら、そのEVを「欲しい」と思わせるクルマに必ずや仕上げられるはずだ
2012年に発表のフィットEV。ホンダなら、台数が稼げるジャンルのEVを「欲しい」と思わせるクルマに、必ずや仕上げられるはずだ