クルマには複数のカテゴリーがあるが、ワゴン(正確にはステーションワゴン)は、国内の売れ行きと車種数を大幅に減らした。20年ほど前までは、トヨタ「カルディナ」、日産「ステージア」、ホンダ「アコードワゴン(のちのツアラー)」など約20車種が用意されたが、今は6車種程度だ。
国内のワゴン需要は主にミニバンに吸収され、北米ではSUVに押された。2000年頃は、国内で売られる小型/普通乗用車の10%近くをワゴンが占めたが、今は3%前後と少ない。
しかしワゴンの魅力は健在だ。全高は大半の車種が1500mm以下だから、重心はセダンと同等に低く、走行安定性と乗り心地を向上させやすい。立体駐車場の利用性も良好だ。またセダンに比べると天井を後方まで長く伸ばし、後端にリヤゲートを装着したから、荷室の使い勝手も優れている。
このようにワゴンは、セダンと同等の安全性と快適性を備え、ミニバンほど広くないが荷室も使いやすい。そのためにメルセデスベンツやBMWなどのドイツ車には、今でもワゴンが多い。欧州では日常的に高速走行の機会があり、安全のために、低重心による優れた走行安定性と疲労を抑える快適な乗り心地が重視されるからだ。
そして最近では珍しく、国内でもワゴンの新型車が相次いで登場した。2019年にトヨタ「カローラ」がフルモデルチェンジを行って新たに「ツーリング」が設定され、2020年にはスバル「レヴォーグ」も新型になっている。
レヴォーグは2020年8月20日に先行予約を開始して、10月15日に正式発表を行い、11月26日に納車を伴う発売となる。このスケジュールは繁雑で、メーカーは早期に売れ筋グレードなどがわかるから都合がいいが、ユーザーは長く待たされてしまう。
それにしてもワゴンファンには、この2車種は気になる存在だろう。そこで両車を比べたい。
文/渡辺陽一郎
写真/編集部
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まずボディサイズだが、レヴォーグは全長4755×全幅1795×全高1500mmになる。カローラツーリングは4495×1745×1460mmだから、レヴォーグよりもひとまわり小さい。全長は260mm下まわり、ワゴンのなかでは今でも小さな部類に入る。
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はレヴォーグが2670mmで、カローラツーリングは2640mmだ。最小回転半径は、レヴォーグが5.5mで、カローラツーリングなら5.0~5.3mに収まる。カローラツーリングは全幅が1700mmを超えて3ナンバー車になるが、狭い裏道や駐車場でも運転しやすい。
内装の造りは、メッキパーツの処理などレヴォーグが上質だが、カローラツーリングもていねいに仕上げた。サイズはコンパクトでも、造り込みはミドルサイズ並みだ。
前席は両車ともサイズを十分に確保した。座り心地を比べると、腰の支え方はレヴォーグがしっかりしているが、カローラツーリングも左右のサポート性が優れ、大きな差はない。
後席の足元空間は大きく異なる。身長170cmの大人4名が乗車して、レヴォーグの後席に座る乗員の膝先空間は、握りコブシ2つ半だ。ミドルサイズのワゴンらしく、後席にも余裕を持たせた。
その点でカローラツーリングの後席は、膝先空間が握りコブシ1つ半に留まる。全高もレヴォーグに比べて40mm低いため、床と座面の間隔も不足した。腰が落ち込んで膝の持ち上がる姿勢になりやすい。後席に座る乗員の足が前席の下側に収まりやすく、4名乗車の実用性は妨げないが、レヴォーグのような広々感はない。
荷室の長さ(奥行寸法)も異なる。後席を使った状態で、レヴォーグの荷室長は先代型と同じ1070mmだが、カローラツーリングは1000mm以下だ。継続生産型になる5ナンバーサイズのカローラフィールダーと比べても50mm短い。つまりカローラツーリングの荷室長は、5ドアハッチバックに近く、カローラスポーツを120mm上まわる程度だ。荷物の積載性もレヴォーグが勝る。
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