トヨタ「ヤリスクロス」が発売され、受注が絶好調だ。しかし、そうなると気になるのは販売台数ランキングでトップを走る「ヤリス」の動向だろう。ヤリスクロスが登場して、販売状況は減速していないのだろうか?
またハリアーは車格が違うのでライバルにはならないが、下のクラスのコンパクトSUV「ライズ」を考えていた人にとっては、ヤリスクロスは気になるモデルであろう。
販売台数ランキング上位2台を脅かす、強力なライバルとなるのは身内の「ヤリスクロス」なのか? 現場での取材をもとに考察していきたい。
文/渡辺陽一郎
写真/編集部
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■受注好調も生産規模の都合で登録台数が伸びないヤリスクロス
最近はSUVの人気が高く、以前からコンパクトカーの売れ行きも好調だ。そのためにこの2つの要素を兼ね備えるコンパクトSUVが注目されている。
コンパクトSUVでも、特に関心度の高い車種がトヨタ「ヤリスクロス」だろう。エンジンやプラットフォームをコンパクトカーのヤリスと共通化して、2020年8月31日に発売された。2020年9月の登録台数は、自販連(日本自動車販売協会連合会)によると、ヤリス+ヤリスクロスの合計で2万2066台としている。
これではヤリスクロスの販売状況がわからないので、トヨタに尋ねると以下の返答だった(自販連とは合計台数が異なる)。
●ヤリスクロス(2020年9月の登録台数)
ノーマルエンジン:2200台
ハイブリッド:4500台
合計:6700台
●ヤリス(2020年9月の登録台数)
ノーマルエンジン:7100台
ハイブリッド:7500台
合計:1万4600台
2020年9月の6700台という登録台数は、同月のトヨタ「ヴォクシー」やホンダ「フリード」と同等だ。従来から人気の高いコンパクトSUVのトヨタ「ライズ」は1万3000台を上まわり、自販連による小型/普通車の登録台数ランキングでは、トヨタ「ヤリス+ヤリスクロス」「カローラシリーズ」に次いで3位に入った。ライズはボディが1種類の車種では、登録台数が最も多い。
このように2020年9月の販売状況を見る限り、ライズはヤリスクロスの影響をあまり受けていないが、今後の動向はわからない。ヤリスクロスの発売は前述のとおり2020年8月末日で、9月の時点では生産開始直後になるからだ。
ヤリスクロスの売れ行きについて、販売店は以下のように述べている。
「ヤリスクロスは人気の高いSUVですが、生産規模はあまり多くないです(メーカーが公表した月販目標は4100台で9月の販売実績を下まわる)。そのために2020年10月上旬に契約したお客様の納期は、ノーマルエンジンが2021年1月、ハイブリッドは大幅に遅れて3月以降です。コンパクトカーのヤリスの納期は2020年12月から2021年1月なので、ヤリスクロスは長引いています」
そうなると生産規模の都合で、ヤリスクロスの9月の登録台数が6700台に収まったとも考えられる。今後ヤリスクロスがライズ以上に売れるかも知れない。
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